2021.06.15.
大学院ウィーク特別企画 パネルディスカッション『プロフェッショナルスクールとしての大学院とは?』開催報告 (6/12)

写真:(左列)ファシリテーターの村田俊一教授とディスカッションの様子・(右列上から)西村幸子さんと織田雄太郎さん

写真:(左列)ファシリテーターの村田俊一教授とディスカッションの様子・(右列上から)西村幸子さんと織田雄太郎さん

6月12日(土)に、大学院ウィーク特別企画として、パネルディスカッション『プロフェッショナルスクールとしての大学院とは?』~研究者養成のためだけじゃない!グローバル化社会で求められる大学院の力~ をオンライン(ウェビナー)で開催致しました。

本学卒業生であるお二人のパネリストを迎え、村田俊一総合政策学部教授のファシリテーションのもと、大学院進学について考えるパネルディスカッションを行いました。
パネリスト:
西村 幸子さん(国連開発計画(UNDP)カンボジア事務所勤務/関西学院大学総合政策学部卒業、英国大学院修了)             
織田 雄太郎さん (グローバル物流企業勤務)/関西学院大学大学院国際学研究科修士課程修了) 
司会:
村田 俊一教授(関西学院大学 国際機関人事センター長、総合政策学部教授)

西村さんは本学在籍中にアメリカへの語学留学経験後、学内の国際プログラムである「国連セミナー」「国連学生ボランティア」に参加したことで、自分の付加価値・実力がなければ現地で貢献できないことを実感。まずはビジネスの視点でのパートナーシップを学ぼうとの考えから、北欧の海運会社に就職。在職中にグローバルリーダーシップ研修に選抜された経験からプレゼン能力・交渉能力・ファシリテーション能力の必要性を痛感し、今後のキャリアを意識してイギリスの大学院でガバナンスと開発を学びました。その後、外務省やJICAのプロジェクトへの参加等を経て、JPOとして国連開発計画(UNDP)に入職。UNDPカンボジア事務所ではプロジェクトマネージャーとして、マネジメントを担当すると共に、ジェンダーフォーカルとして事務所全体のジェンダー主流化を担当し、ジェンダー戦略の展開をサポートしています。

織田さんは、他大学を卒業後、それまでの学びを継続させるため本学大学院に進学。入学後すぐ、大学院副専攻国連・外交コース開設記念として本学が実施したパネルディスカッションで、天野之弥国際原子力機関(IAEA)事務局長(当時)とのディスカッションにパネリストとして参加しました。また、グテーレス国連事務総長の来日時には日本の大学生との交流会に大学から選抜されて出席、国連・外交コースのインターンシップではUNDP駐日代表事務所での業務も経験しました。紛争、PKO等について研究したのち、後方支援、ロジ、国際物流のスペシャリストに、という考えに至ったため、大学院修了後は国際物流企業に就職。ロジスティックスに精通し、専門を活かして国際社会に貢献することを目標に、業務に取り組んでいます。コロナ禍でのワクチン輸送面でのロジスティクスの国際貢献についてもご紹介くださいました。

それぞれ異なるキャリアパスを歩みつつ、共に国際公共分野に志を持つお二人からのお話は、これからの進路を考える聴衆の皆さんにとって、非常に参考になるヒントが数多く含められていました。
一旦社会人になった後、次のステップを目指して退職し大学院進学した西村さん、学部卒業後にそのまま大学院に進学した織田さん、お二人ともに共通しているのは、大学院進学と修了後の目標設定・追求したい専門分野が確固として明確であることです。経路は異なっていても、目指す先へと醸成された意志の強さと日々の努力が、お二人を確実に目標へと導いていると感じられるお話でした。

また、お二人が共通して述べられたことは、英語はあくまでツールであり、自分の意見をきちんと持って、それを伝えることが目的であることです。西村さんは、国連関連分野は独自のコンテクストがあるので、国連のドキュメントを読み込むことは英語力を高めるために参考になると助言し、織田さんは、英語力のみならず自分の意見を持ち議論のできる思考力を持つことが大事とアドバイスくださいました。

終わりに、大学院進学を目指す人たちへのメッセージとして、「そこで何をしたいのか。目的意識をもって大学院進学することが非常に大事。(織田さん)」「10代・20代の持つ熱量や吸収力は貴重で、その世代特有のもの。大学院進学にしても就活するにしても、何を一番大切にしたいのか、よく考えて持てるエネルギーをフル活用してほしい。(西村さん)」との熱いエールを送ってくださいました。

今回の司会を務めてくださった村田俊一教授は、ご専門が途上国の紛争問題とそれに関連する援助政策で、UNDP駐日代表、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)事務局次長を歴任された元国連職員であり、村田教授の指導のもとにそれぞれの歩みを続け活躍するパネリストのお二人から、非常に興味深いお話を引き出してくださいました。「一旦社会に出た人にとっても、リトレーニング(更なる学びの機会)として大学院進学は今後ますます必要となってくるでしょう。SDGs達成に向けて皆で努力し、コロナ禍を克服した暁には、また関学で意見交換しましょう。」との村田先生のクロージングで、充実のパネルディスカッションを終えました。