[ 国連・外交統括センター ]国連セミナー参加学生の声

※内容は取材当時のものです。

国連ユースボランティアでの活動の様子

  新山 岳さん(人間福祉学部)

 ・参加プログラム:国連セミナー
 ・派遣先    :アメリカ合衆国 ニューヨーク・国連本部等
 ・参加年度   :2024年度

プログラムに参加した理由

私は国連セミナーへの参加当時、学部副専攻「国連・外交プログラム」生でもなければ海外渡航経験もありませんでした。ただ単に「国連ってかっこいい」というイメージや、「留学にチャレンジしてみたい」という思いだけで参加を決めました。しかし今考えると、本当に参加して良かったと思いますし、確実に学生生活の転機になりました。

当初は国連の知識もなく不安がありましたが、事前研修で国連の基礎知識から現在直面している課題などを学び、特に国際的課題について「自分で考えること」に取り組み続けたことで、なんとか最低限必要な知識を培うことができました。参加学生は出身学部も関心分野もバラバラで、そんな人たちと意見を交わしたり一緒に考えたりすることでこれまで自身に無い新たな知見を得ることができるのも新鮮でした。

事前研修中の教材の一つだった、「Our Common Agenda」は私が最初に読んだ国連の報告書でした。読み始めた当初は何が書いているかさっぱりわかりませんでしたが、何回も読んでいき、自分で考えて、そしてNYの現地の職員の方にお話を聞く中で、報告書の内容が少しずつ理解できるようになっていきました。事前研修の時からたくさん書き込みをした「Our Common Agenda」は今でも大切にしていて、時々見返したりしています。

国連セミナーに一緒に参加した仲間とは現地ではもちろん、帰国後もつながりが強く、授業を一緒に受けたり関係を広げたりすることに繋がりました。最高の思い出を作ることができました。

1日のスケジュール

平日は2つか3つのセッションがあり、計13のセッションと20人以上の方にお話を聞くことができました。具体的なスケジュールは日によりますが、10時頃から1つ目のセッションがあり、午後にも1つか2つのセッションを実施した後、学生・教職員のみで行うその日の振り返りセッションを18時頃に終えることが多くありました。そのため、朝の時間や夕方以降は自由時間で、セッションの下調べやまとめなどをするか、観光を楽しむ時間にしていました。

タイムズスクエアに歩いていける距離だったので、夜はよくご飯を食べに行っていました。少し現地に慣れてきたころには、早朝にブルックリン橋まで地下鉄に乗って行ったり、セントラルパークまで自転車で行ったりしたこともありました。どちらも人気のランニングコースで、朝はたくさんのランナーたちが走っていました。

土日は両方お休みだったので、2日間ニューヨークを満喫しました。前日の夜から数人で予定を練り、集合と解散を繰り返してそれぞれが一番楽しめるように計画を立てていました。個人的には、セントラルパークでピクニックをしてからメトロポリタン美術館に行ったことがすごくいい思い出でした。

印象的な出来事

全てが印象的な出来事ですが、訪問機関によって働く人の雰囲気や空気が全く違っていたことに驚きました。国連本部事務局ビルの上階は窓も大きく、職員の方も気さくにお話してくださる人が多く、とても明るい印象でした。一方で、外務省国連日本政府代表部は非常に厳格な雰囲気でした。セキュリティもとても厳しく、講義内容についても圧倒されました。他の各機関でもそれぞれ少しずつ雰囲気が違って興味深かったです。

また、中満泉国連事務次長のセッションはとても緊張しました。私は席が真正面だったため、ご講話を聞いていて目があったり質問をしたりするときには本当に息が詰まりそうでした。その日に取ったメモも見返すと文字が震えているところもたくさんありました。その中でも衝撃的だったことは、中満さん自身が国連を非常に客観視されていたことです。国連を美化する必要はないと強調しながら、国連自体を客観視して現実的な希望に向けて努力していくという姿勢に心を打たれました。「国連は、私たちを天国へ連れていくのではなく地獄へ行かないようにする機関だ」という言葉が記憶に残っています。講師をしてくださった皆さんは非常にお忙しい中でも私たちのために時間を作ってお話をしてくださり、質問にも本当に丁寧に答えてくださり、それがとても嬉しかったです。

プログラムで得たこと

まずは、少しだけ自信がついたと思います。私は全てのセッションで、必ず質問をすることを心がけていたのですが、その経験が帰国後の学生生活にも活きています。例えば授業中に手が上がらないときや、誰かが意見を言うのを待っているようなときに、迷わず一歩踏み出すことができるようになりました。これは自分にとってはとても大きなことで、今まで何かを気にしてなにもできずにいたこともありましたが、今では失敗を恐れずにどんな機会も挑戦したいと思えるようになりました。

また、英語のハードルも低くなりました。初めての海外渡航だったので、英語を話すことに不安があったのですが、自分の言いたいことを表現しようとすれば相手の方が汲み取ってくれることが分かって、自信を持って話せるようになりました。現地のお店で注文する時や、ホテルの人と会話するのが次第に楽しくなってくるのが嬉しかったです。終盤では、ホテルの中で会った人や店員さんに自分から挨拶できるようになりました。

そして、たくさんの人とつながりを作ることができました。一緒に国連セミナーに参加した仲間はもちろん、国連・外交統括センター(UNFA)の職員の方たちや先生方とつながることができ、色々な相談をしたり、それらに対して提案をいただくこともあって本当に感謝しています。そういう意味でも、国連セミナーがきっかけで自分の可能性が一気に広がったと実感しています。

余談ですが印象的な出来事として、グランドセントラルステーションの朝の市場(?)を通る時に、くしゃみをした店員さんに向けて店越しに「Bless you」と言っている場面を目にしたのを覚えています。自分もいつか言いたいと思ってホテルで友達と練習してチャンスをうかがっていたのですが、残念ながら言うことができませんでした。

プログラムに関心をもっている方へのアドバイス・メッセージ

まず参加を迷っている方に向けて、私は3年生で参加したのですが、もっと早く経験しておきたかったなと思うと同時に、もし来年以降に参加していればもっと多くのことが吸収できたのに、と強く思いました。結果的には本当にたくさんの経験やつながりを得ることができて、そして次年度からは、学部の早期卒業制度を利用して以前より志望していた本学大学院の総合政策研究科国連システム政策専攻に進学します。結果として、自分としては最高のタイミングで国連セミナーに参加することができたと思っているのですが、違う時期に参加していてもその学年に応じた得難い機会になっていただろうと思います。国連の知識や英語力に関しては、事前研修や渡航までの期間で何とかすることができると思いますが、必ずどこかで自分に足りない部分を経験すると思いますので、その時点で自分にできる最大限の準備をすることが大事とも思います。

そして参加を決めている方に向けて、たくさん挑戦して様々な経験をしていただきたいなと思います。実は渡航時にはハプニングも本当にたくさんあって、失敗も大小さまざま経験しました。国連セミナーでしかできない挑戦や失敗がたくさんありますので、是非その機会を楽しんでいただきたいと思います。また、どれだけ下調べをしても、後から十分だったなと思うことはありませんでした。逆に、もっと調べておけばよかったと後悔することばかりでした。どれだけのことを学べるかは、事前にどれだけ準備をして考えたかにかかっていると思うので、渡航前やセッションの前にできるだけの準備をしていただければと思います。

私の経験が少しでも役に立てば幸いです。また機会があれば、おすすめのお店や面白かったハプニングなどお話しできれば嬉しいです。皆さんの国連セミナーの参加とさらなるご活躍を切に願っております。