理学部長 メッセージ

高橋 功 (たかはし いさお) 教授

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北海道大学大学院理学研究科物理専攻博士課程修了。博士(理学)。
北海道大学理学部物理学科助手、名古屋大学工学部応用物理学科助手、
関西学院大学理学部物理学科助教授、理工学部物理学科教授を経て、2021年から現職。専門は回折物理学、表面物理学。

関西学院大学理学部にようこそ!

ご存知の様に関西学院大学の理学部は2021年の4月1日に開設された、いわば出来立ての学部です。すでに建物や実験・研究のための施設・装置は完備してありますし、33名の教授・准教授・専任講師と数多くの研究者、職員がいて、何年も前から理学部を開設しようと様々な努力を積み重ねて参りました。その理学部に欠けていた最後の重要な構成員として、本日皆さんは学部の一員となったわけです。私たち教職員一同が「皆さんを大歓迎します」という気持ちでいること、この特別な気持ちを皆さんにわかっていただきたいと思います。

誕生したばかりの理学部に入学した皆さんには大きな特典があります。何をやっても理学部で初、理学部で初めて行った人物となることができるという特典です。理学部生としてのこれからの四年間、また少なからずの人が卒業後に大学院に進学するものと思いますが、この間に色々なことに挑戦して、地道な努力も積み重ねて、新しい理学部で数多くの一番のりを目指して欲しいと思います。勉強や研究はもちろんですが、勉強や研究以外の様々な活動に対しても、関西学院大学は様々なサポート体制を有しています。いま私たちは新型コロナウイルスという、確実に人類史に残る大きな試練を受けている最中です。大学における大学生としての活動に対しても、残念ながら様々な制約が課せられていて、自由な活動が困難であるということも多いわけです。しかしながら、そのような制約下にあるのは皆さんだけではありません。全世界の大学生が制約を受けているのでありますから、条件はある程度同じであるとも言えるのではないでしょうか。このような状況下で何をどのように活動していけばよいのか、ある意味では皆さんの腕の見せ所であると思います。知恵を絞っていまの厳しい状況を皆さんがより大きく成長することができるチャンスへと変えていただくこと、そして理学部のよき伝統を作ること、これを願っております。

理学部数理科学科の学生として、物理・宇宙学科の学生として、化学科の学生としてのスタートにあたり、皆さん一人ひとりの心の中で、大いなる勉学の意欲に燃えておられることと思います。今の心の中の炎は、これからの四年間、常に大きく燃え盛っているというわけにはいかないかもしれませんが、是非ともその火を完全に消すことなく、大学時代、そして大学を卒業して社会人や大学院生になってからも燃やし続けていて欲しいと思います。
勉学しようという心の中の炎、つまり勉学の意欲は特に理学部の場合、主に“不思議だと思う”純粋な知的好奇心によって生まれるものではないでしょうか。知的な好奇心を持ち続けてください。数がもつ底の知れない不思議を、自然界を貫く法則と宇宙の神秘を、物質とその変化についての大いなる謎を、理学部の学生として持ち続けてください。一日や二日、あるいは半月程度の期間ならば、疑問点を毎日探し出して、それを持ち続けることはそれほど難しいことではありません。非常に困難なタスクは一生の間そのような生き方を続けるということです。これは並大抵なことではありません。知的な体力というべきものを大いに要する作業でありますが、日々続けているうちに特に意識せずとも、その生き方が自分の生き方になっていきますし、そこから何が重要なものが生み出されるかもしれません。知的好奇心を持続させるためには知的な体力をつけることが必要ですが、知的好奇心を持ち続けることによって知的な体力も自然に身に付いていきます。なお関西学院には学部の専門分野の枠を超えた幅広い知的好奇心を満たすための多彩なプログラムが用意されていますので、ぜひとも活用してください。

関西学院大学のスクール・モットーは“Mastery for Service(奉仕のための練達)”でありますが、さらに関西学院大学の学部はそれぞれの“聖句”を持っています。われらが理学部の聖句は、新約聖書ガラテヤの信徒への手紙 第5章13節にあります “愛によって互いに仕えなさい” です。前後の文脈を知らなければこの聖句の意味を本当に理解することはできないと思いますし、またそれは今後段階を踏みながら教わっていくことになると思いますが…さて、どんな意味なのか、まだ知らないという人は “愛によって互いに仕えなさい” という言葉が与える印象のみを手掛かりとして自身で少し考えてみてはいかがでしょうか。ここでは、「理学部の聖句 ”愛によって互いに仕えなさい“ は関西学院のスクール・モットーである“Mastery for Service”と非常に深い関係にあるのです」という、いわばヒントを出しておくに留めておきたいと思います。

理学部の聖句がいつできたのかということに関連して関西学院における理系学部の歴史を少し述べたいと思います。この四月に開設した理学部ですが、正確には新生理学部と呼ぶものであるかもしれません。関西学院大学には1961年から2001年までの間、西宮上ヶ原キャンパスに理学部が存在していました。2002年に神戸三田キャンパスに移転すると同時に理工学部が開設されたことにより旧理学部は解消されました。“愛によって互いに仕えなさい” は、旧理学部時代から理学部の聖句だったのです。今回新生理学部の開設にあたり聖句を復活させたことになりますが、私たちは聖句のみを復活させるわけではありません。旧理学部のありとあらゆるよいものを復活させて、新生理学部の新たな伝統を築くに際しての基盤としたいと思います。その意味では皆さんは孤独ではありません。旧理学部の伝統と実績のみならず、旧理学部を卒業した大勢の同窓生がいて常に皆さんを見守っています。そのことを忘れないでいてください。

理学部に入学された皆さんが三田の地で多くの仲間・教職員と交流し、充実した多くのプログラムから主体的に学び、課題に挑戦する中で、それぞれの分野で活躍する人材として巣立っていくことを心より祈念して私の式辞といたします。

本日は関西学院大学理学部へのご入学、まことにおめでとうございます。
(2021年4月1日 理学部入学宣誓式にて)