脳神経イメージング(矢尾)研究室

矢尾 育子

矢尾 育子 (やお いくこ) 教授

脳神経イメージング(矢尾)研究室

研究分野:
脳神経科学、生化学、バイオイメージング
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研究室の目標

 私たちの研究室では、脳・神経活動の調節機構を明らかにすることを目指しています。
さまざまなイメージング手法を取り入れ、生体内の分子を可視化することにより、疾患の原因解明および治療につながる基礎研究に取り組んでいます。特に、脳内環境・神経シナプス伝達に関わる機構とその破綻により生じる疾患に注目して研究しています。
 そして、基礎研究を通して一人でも多くの人が歳を重ねても、ずっと健康な脳を保ち、生き生きと活躍できる社会づくりに貢献したいと考えています。

1)シナプスのE3ユビキチンリガーゼSCRAPPERによる神経伝達調節
私たちが発見したSCRAPPERタンパク質を基盤に、様々な角度から分子から個体までの病態解析に取り組みます。

SCRAPPER依存的なユビキチン・プロテアソーム系を介したRIM1分解のモデル図(左) E1,E2の働きの後、SCRAPPERを含むSCF複合体E3ユビキチンリガーゼの働きによりRIM1はポリユビキチン化され、プロテアソームで分解される。右の絵は、「JoJoの奇妙な冒険」で有名な漫画家・荒木飛呂彦氏によるCell誌カバーデザインで、人型のものをSCRAPPER、円盤形のものをRIM1、小さいハート型のものをユビキチンとして表し、SCRAPPERがRIM1にユビキチンを付加していく様子を擬人化して表現している。 Yao I, et al: Cell (2007)より改変

2)質量顕微鏡法による神経伝達物質のイメージング
脳情報の時空間的制御の解明をコンセプトに、神経活動依存的な神経伝達物質の動態を明らかにします。神経伝達物質可視化のためのツールとして、質量顕微鏡法を取り入れ、脳情報の可視化を行い、統合的な理解をはかります。この理解は、脳のはたらきの解明のみならず、神経伝達物質放出異常に関与する多くの神経疾患の治療への手がかりとなり、リハビリテーションなどに重要な新規のアプローチとなることが期待されます。

質量分析でアセチルコリンの脳内分布の可視化に成功外部サイトへのリンク

世界で初めて喘息モデルマウス肺の アセチルコリン過剰分泌を可視化関連ページへのリンク

グルタミン酸やGABA量の脳領域特異的な変化に タンパク質分解に関わる酵素Scrapperが関与することを発見関連ページへのリンク

野生型(WT)マウスとScrapperノックアウト(SCR-KO)マウス脳の矢状断切片画像
上段;ヘマトキシリンエオシン(HE)染色画像
中段;マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量顕微鏡法 (MALDI-IMS)で検出したグルタミン酸の分布
下段;MALDI-IMSで検出したGABAの分布

3)神経回路形成時における不飽和脂肪酸の作用機序の解明
不飽和脂肪酸特にDHAによる神経機能制御機構を明らかにします。

不飽和脂肪酸による神経細胞の機能制御