野瀬 正治教授(2)
経営社会学でひも解く人と経営の問題
「経営社会学」の考え方について、もう少し教えてください。
私の講義する経営社会学は、経営現象における社会関係を、実証研究の手法で調査研究する応用社会学の一分野です。そして具体的な特徴は、単に改良主義的な社会政策では産業社会で発生する問題を本質的に解決はできず、その問題の解決には実際の経営に踏み込んでそこで発生する現象を対象にした解決アプローチが必要である、とするところに特徴があります。一口に言えば、産業社会の問題は社会のルツボとしての職場における人の関係や会社との関係から捉えて初めて解決される、というアプローチに特徴があります。今、社会で問題になってるホワイトカラーエグゼンプションでいえば、社会のるつぼとしての職場で捉えることが外せませんし、格差問題を考える場合もやはり社会のるつぼとしての職場での分析研究は欠かせません。
経営社会学の創成期の近代社会初期の例でいうと当時の社会問題のひとつの疎外問題の解決を考えると、仮に労働者が主導権を得て労働者が経営する企業体に変革できたとしても、疎外の問題の本質は依然なにも解決はできず、その問題の解決は職場での労働者間の関係など実際の場のあり方が改善されなければならないという点に着目します。
受験生へのメッセージをお願いします。
大学の最大の特徴は、新たな知見を創造する場である点と最先端の知識を持ってる点だと思います。それから特徴でなく重要な点として、高校など中等教育機関と同様に人格の形成を目的にしている点があると思います。
皆さんは今受験勉強などで大変だと思いますが、高等教育機関としての大学での生活はみなさんにとってそれに見合う価値ある取り組みや経験ができるすばらしい場です。そうした素晴らしい場で皆さんがどのように取り組めば良いかのアドヴァイスを次の4つのモデルを通してしたいと思います。それらはモデルですから実際にどれか1つに自分が当てはまるということではなく、実践では、4つのモデルを参考にポリシー・ミックスにより取り組んで欲しいということです。
モデル1:高校時代、興味を持ったことに自由に取り組むことができた人へ。
大学はもっと自由であるしもっと多くのことに興味を見出すことができます。問題意識を研ぎ澄まし、さらに大学ではいろんな実践をしてください。
モデル2:高校時代、制限を受けて自由には取り組むことができなかった人へ。
大学では素晴らしい出会いと自由な取り組みが待ってます。バネがはじけるように、おもいっきり取り組んでください。
モデル3:高校時代、あまり疑問をもつことがなかった人へ。
中芝で静かに耳をそばだててみて下さい。多くの事に気づくでしょう。
モデル4:自分はステレオタイプでないと思ってる人へ。
大学での学びが新しい世界を目の前に広げてくれます。常に変革できる自分になってください。
みなさんの健闘を祈ります。