佐藤 哲彦 教授(1)

[ 編集者:社会学部・社会学研究科      2015年5月7日   更新 ]

記者をやめて研究の道へ

社会学との出会いはどのようなものでしたか?

劇的なきっかけはありません。もともと「大学に行ったら社会学を学びたい」と考えていました。
高校時代に将来は新聞記者かノンフィクションライターになりたいと思っていて、それに一番近い勉強は社会学かな、という思いがあったからですね。
卒業後はノンフィクションの仕事をしたいということと、小説が好きだったこともあり、出版社に入社しました。

出版社で勤められた後、研究者の道へ進まれた経緯を教えてください。

出版社では雑誌記者をしていました。しかし、雑誌では一つのテーマを長い期間扱うことが出来ません。自分ではおもしろいと思っても、取材するテーマが短い期間で移り変わってしまうことが多くありました。
一つのテーマをじっくり長く扱うには、それを勉強する対象にするしかないと思い、大学院へ戻ろうと決意しました。ただしそれで研究者の道に進もうとしたという意識はあまりないですね。
大学院前期課程時代にはフリーライターの仕事も多少していましたし、気づいたら、たまたまこの道に進んでいたという感じです。

先生の研究テーマとの出会いについて教えてください。

「社会問題」、特に「薬物問題」を研究テーマとしています。
学生時代に色んな国を旅行しました。その過程で、薬物すなわちドラッグの使用者と出会うことがあり、強い印象を受けました。とはいえドラッグ問題は、日本ではほとんどないことだと最初は思っていました。そう言われていましたし。
しかし、出版社で働き出してから、取材などで注意して見ていると日本にも結構あることだと気付きました。それが自分にとってすごくおもしろいと感じ、研究することにしました。

研究テーマとしての「薬物問題」のおもしろさをもう少し教えてください。

日本ではドラッグというと、「覚せい剤やめますか?それとも 人間やめますか?」といった公共広告コピーのように、使うと必ず廃人になってしまうイメージがあります。
しかし、実際に使っている人、使い続けている人がいる。その人たちが、なぜ使い続けられるのかが疑問でした。取材などで使用者と話す機会があると、私自身、最初は「何でドラッグなんか使っているの?」と道徳的なことを言っていたのですが、話を聞くうちに彼らなりの説明の仕方や意味づけがあることが分かり、そこに私はおもしろさを感じたのです。
それもあって、大学院に入ると「薬物問題」を研究テーマにしました。

佐藤教授のインタビューは(2)まで続きます!
(2)では担当科目である「社会問題論」について詳しく伺います。

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