大岡 栄美 准教授(2)
ネットワークとしての社会
どのような授業を担当されていますか?
ソーシャル・ネットワーク論という科目を教えています。
この講義では、「社会的ネットワークとは何か」という問いを出発点として、ネットワークの様々な機能的役割を学ぶもので、人と人とのつながりの影響を理解することを目指しています。
学生には、人と人との関係をネットワークとみたてて、自分の友人関係はどのようにできているのか、人と人はどのようにつながっているのか、外国人の友人がいるかいないかで異文化に対する意識はちがうのか、といったことを考えてもらいます。
人と人とのつながりの影響についてもう少し教えてください。
身近な例でいうと、「進路はどうしよう?」「恋人と別れようかな?」といったことの判断が、自分を取り囲んでいる人間関係により変わるのか、影響を受けるのかといったことです。
自分と近い人、似ている人との付き合い=ネットワークは居心地がよく快適な関係ですが、そこに異文化=異なる考えや価値観をもつ人が入ることでどのような変化が現れるのか。そうしたことを考えてもらいます。
異文化が混在することの魅力/おもしろさとは何ですか?
想像もしなかった意見や考えが出てくることですね。
似た人同士であれば、同じような結論になる場合でも、異なる考えや文化をもつ人がいると、新しい視点やアイデアが出てきます。そうしたつながりは、新しい世界に飛び込むときの道先案内人となってくれます。自分が新しい世界に参入するハードルを下げてくれる存在、新しい世界の入り口にいる案内人といってもいいかもしれません。
人とのつながりが多様性で豊かになることで、自分自身の可能性が広がる。自分のネットワークをひろげることは摩擦をもたらすこともありますが、その摩擦こそが自分の生きる世界を広げるということでもあります。それは本当に魅力的でおもしろいことですよ。
高校生へのメッセージ
社会は様々なタイプの人間で成り立っていて、リーダータイプもいれば、フォロワータイプもいます。私自身がリーダータイプではないので、周囲を引っ張っていく人をうらやましいと感じることもありますが、全員がリーダーである必要はありません。
大切なことは、興味のあることに一歩踏み出す勇気を持つことと、面白そうなことがあるときに仲間になる行動力。「この指とまれ!」の指にとまれるオープンな人柄も重要ですね。いろいろな指にとまり、自分の可能性をひろげること。その気持ちを大切にしてほしいと思います。
◆インタビューを終えて・・・
ふとしたキッカケで異文化と出会い、そのことが後の人生を大きく方向づける。大岡先生のお話からは、身近なものであってこそ異文化交流に意味があることが伝わってきます。
日常における周囲との豊かなネットワークを築くことで、自分の内なる可能性を広げましょう!