2010.03.25.
2009年度 時武英男賞 優秀論文決定


優秀論文  松下 桃子 「留置施設運営の更なる適正化に向けて」


2009年度時武英男賞 講評


第6回 時武英男賞選考委員会



2009年度時武英男賞には、次の4点の論文の応募があった。

松下 桃子  「留置施設運営の更なる適正化に向けて」
籠島  隆   「起訴前における精神鑑定の適正化-権利侵害のおそれを無くすために-」
吉川 陽淑  「被疑者取調べ全過程の録画・録音の必要性と実施方法について
           ~裁判員裁判下において取調べの任意性が争点となった場合における、客観的証明力のありかた~」
飯田 佳生   「日本における年次有給休暇制度のあり方についての検討
                ~フランスのヴァカンス制度を日本でも導入できるのか~」

 いずれも、本学法学部学生(4年生)の手による論稿であり、関連文献をよく読み込んでまとめられ、
主張のはっきりした好論文であった。慎重に審査した結果、松下桃子の「留置施設運営の更なる適正化に
向けて」を論文としての完成度が最も高いものと認め、受賞作と決定した。
 この論文は、被疑者の留置・勾留が警察署内の留置施設(刑事収容14条)で代用されている現状に対し、
「捜査と留置の分離」の原則を徹底すべきとの問題意識から、現在の制度とその運用を批判的に考察し、
その上で留置施設の運営主体を法務省に移管すること、また留置施設視察委員会(同20条)の機能向上を
提言するものである。本論文の立論構成は合理的であり、かつ考察・提言箇所における基礎づけも
説得的であることから、本論文は時武英男賞の授与が可能なレベルに十分到達している優秀な論文と評価した。

 今回、力のこもった4点の論文の応募があり、優秀論文受賞作のあったことを、選考委員会一同大いに喜んでいる。
学生諸君の今後の研鑽に期待したい。
 
優秀論文受賞作は下記からご覧になれます。

留置施設運営の更なる適正化に向けて PDFファイル   [ 2.19MB ]PDFリンク