2007.02.10.
2006年度 時武英男賞 優秀論文決定

2006年度時武英男賞 講評
                   第3回時武英男賞選考委員会

2006年度時武英男賞には、つぎの3点の論文の応募があった。
松本貴司 「守られなくてはいけないもの……被害者保護を目指して」
洪里明侑美「罰としての刑務所収容」
西村沙貴 「著作権保護期間延長の合憲性」
 いずれも、本学法学部学生(4年生)の手になる論稿であり、関連文献をよく読み込んでまとめられ、主張のはっきりした好論文であった。3篇とも甲乙つけがたかったのであるが、慎重に審査した結果、洪里明侑美の「罰としての刑務所収容」を論文としての完成度が最も高いものと認め、受賞作と決定した。
 この論稿は、日本の刑務所での受刑者の処遇をめぐる諸問題を批判的に検討したものである。もっとも、著者自身が論文中で言及しているように、旧監獄法は2005年に改正され、06年5月より新法である「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」が施行されている。本論文では旧法時代の実例と文献を中心に検討されており、新法制定後に旧法時代の問題がどのように改善されたか、あるいはされていないのかについて具体的に検討を進める必要があったといえるが、この論文ではその点の検討が不足しているように思われる。ただ、学生が収集できる情報は限られているということもあり、この点は今後の課題として、是非、引き続き研究していっていただきたい。
 今回、力のこもった3点の論文の応募があり、初の優秀論文受賞作のあったことを、選考委員会一同大いに喜んでいる。学生諸君の今後の研鑽に期待したい。
 
優秀論文受賞作は下記からご覧になれます。

「罰としての刑務所収容」[ 42.4KB ]PDFリンク