2024.12.10.
法学研究科研究員の田中豊さんが著書『儒学者 兆民——「東洋のルソー」再考』を出版
法学研究科研究員の田中豊さんが『儒学者 兆民——「東洋のルソー」再考』(創元社)を2024年12月に出版しました。
本書で取り上げた明治の思想家・中江兆民(1847-1901)は、ルソーの『社会契約論』を『民約訳解』と題して翻訳したことによって「東洋のルソー」、つまりルソーの政治思想の紹介者としてこれまでみなされてきました。本書では『社会契約論』と『民約訳解』を比較することで、中江兆民が原典をあえて正確に翻訳していなかったことを指摘しました。そのうえで、兆民はルソーの思想を通して儒学思想の刷新を図った「儒学者」であったことを明らかにしました。さらに、中国における『社会契約論』の伝播の様子についても当時の史料を駆使して詳細に検証しています。
田中さんは「中江兆民がルソーとの思想的格闘の結果、明治日本に生きた人びとに何を伝えたかったのかを広く知っていただきたい。さらには、兆民亡き後でもなお、彼が東アジアに多大な影響をもたらしたことをおわかりいただけると思います。ぜひ、本書を紐解いて中江兆民を「再発見」してみてください」と話しています。
政治思想史のみならず、日本や中国の歴史にも関心がある方は本書を手に取ってみてください。