2024.11.26.
外務省職員が「国連安保理の機能と課題」をテーマに登壇

法学部が開講する「国際社会と法」が11月7日に西宮上ケ原キャンパスであり、外務省の阪口琢磨さん(総合外交政策局 国連政策課長)が登壇しました。これは外務省が取り組む「外交講座」の一環で、外務省職員が全国各地の大学に講師として講義を行うものです。学生約350人が出席する盛況となりました。

冒頭阪口さんは、安保理の意思決定手続きや、扱われる議題など、基本的な制度設計と活動について紹介しました。さらに、PKOの派遣や国際刑事裁判所の設置を含む安保理の機能について説明し、拒否権から生じる限界については、総会や事務総長の権限を使って一定の対応が行われていることもお話になりました。
近年は、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのガザ・レバノンへの侵攻を巡って、安保理が効果的に対処できていないという批判が多く聞かれます。阪口さんは、「安保理は失敗した時に注目されやすいが、国際の平和と安定に多くの貢献をしていることも知ってほしい」とし、提出された安保理決議の多くは採択されていることや、実際に紛争地の安定に寄与してきた事例を紹介しました。さらに、欧米諸国が過大代表されているという批判に対応し、安保理の代表性と正統性を高めようとする安保理改革について、近年の取り組みを説明されました。
最後に、現在も非常任理事国である日本が、安保理でどのような活動を行っているか、北朝鮮情勢、ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢等について紹介されました。

会場からは、安保理の実効性や安保理改革、具体的な問題への対応等について多くの質問がありました。安保理の活動や実効性に注目が集まる中で、実際に日本の国連外交を担う阪口さんからお話を伺うことができ、学生にとって大変有意義な時間となりました。