[ 教育学部 ]学部長メッセージ

教育学部長 岡本 哲雄

教育学部長 岡本 哲雄

教育学部長 岡本 哲雄

 関西学院大学教育学部では、キリスト教主義に基づく人格陶冶の理念に沿い、世界市民の自覚をもち、“Mastery for Service”を体現する、「人を育てる人」を育てることを基本方針にしています。その際、乳幼児・児童・生徒・障がいのある子どもなどを包括した「子ども理解」を学部の教育研究の中心においています。

 「子ども理解」とは、まず、子ども一人ひとりの〈いのち〉が唯一無二の「授かりもの」であることに深く思いを致すこと、そして大人やこの世界との関係性において常に成長する多様な子どもたちの姿をそれぞれに全人的に理解することです。子どもは一人ひとり異なるすばらしさをもっています。どの子どもにも心を開き、子どもたちからも学ぶという姿勢を失わずに、子ども一人ひとりが固有のライフミッションを発見できるように支援することが、教育者自らの成熟のためにも大切だと、心得ておくことが必要です。

 教育学部には、このような「人を育てる人」を育てるために、3つのコースがあります。幼児教育学コースでは、日本のキリスト教主義保育の伝統を受け継ぎ、一人ひとりの乳幼児の活動を尊重し、それをより高次の活動に導く術を学びます。同時に国際的・歴史的視野の中で保育を構造化・理論化する思考を獲得して幼児教育の質の向上に貢献できる人を育てたいと願っています。初等教育学コースでは、学齢に達した子どもたちに寄り添い、いわば、この世界という劇場へと道案内する教育者としての在り方や指導方法を学びます。「知・情・意」の調和がとれた豊かな人格の礎を築きつつ、一人ひとり異なる〈いのち〉を育むために、多角的に支援できる人を育てたいと願っています。教育科学コースでは、価値が昏迷する現代の家庭、学校、地域が抱える様々な問題を理解し、とりわけ人間・文化・教育に関して学際的に問いながら学ぶ「学問経験」を大切にします。これを通じて異世代が「共に生きる」ための思慮深い実践力(応答力)を培い、家庭や学校、そして広く社会全体に貢献できる人を育てたいと願っています。

 いたずらにテクノロジーの革新やグローバリズムに翻弄されることなく、一人ひとりの子どもの〈いのち〉の充実のためにまず何が必要かを考え、誠実に応答することができる人、すなわち人類のよりよき存続(世代継承)の要(かなめ)ともいえる教育という営みに地道に奉仕できる人、そのような仕方で世界市民である人―そういう人こそ「思いやりと高潔さをもった社会の変革」を可能にすると信じます。