2022.06.23.
【新刊紹介】髙井由起子准教授『DV加害者対応はDV被害者支援たりうるか―人権問題としてのDV問題にかかる加害者対応の課題』(ミネルヴァ書房)

髙井由起子准教授が『DV加害者対応はDV被害者支援たりうるか―人権問題としてのDV問題にかかる加害者対応の課題』(ミネルヴァ書房)を2022年3月に出版されました。
髙井先生が当書籍を紹介してくださいます。

  日本におけるDV被害者支援は、相談に乗ること以外でいえば、DV加害者から逃げることや一時保護、離婚を選択する方向性を主としています。一方、DV加害者対応は民間の団体数十箇所において実践しているにすぎません。ところがDV被害者の立場で考えると、すべてにおいてパートナーと離婚することを望んでいる事例ばかりではありません。その意味でDV加害者に対応することが必要であると考えます。こういった問題意識をベースとして、DV加害者プログラムにかかわる人にインタビュー調査を実施いたしました。本文献の考察の中心はこれらインタビュー調査内容の分析、考察となっています。具体的にはDV加害者プログラム参加者、DV加害者プログラムに通う夫を持つ女性、DV加害者プログラム含むDV加害者対応実践者へのインタビュー調査結果を分析しています。その結果、DV加害者プログラムを含むDV加害者対応は、万能ではないものの、DV被害者はもちろんのこと、DVをやめたいと思ってもそれが難しいDV加害者当事者にとって一定のニーズがあり、また有効であることが明らかになりました。
 DV問題や子ども虐待の問題について関心をお持ちの方含め、みなさまに一読いただけましたら大変うれしく思います。