2022.06.13.
【新刊紹介】橋本真紀教授『よくわかる子ども家庭支援論』(ミネルヴァ書房)
橋本真紀教授が『よくわかる子ども家庭支援論』(ミネルヴァ書房)を2021年8月に出版されました。橋本先生が当書籍を紹介してくださいます。
保育士による子育て支援は、保育の専門性に基づき展開される専門的技術であることが保育所保育指針に示されています。本書は、その意義を踏まえ、保育の専門性を基盤とした子ども家庭支援の展開について解説しました。
乳幼児を育てる家庭の多くは、子どもという新たな構成員を含め家庭として機能していく初期段階にあるといえます。家庭が機能していくことを支えていた親族や地域と、家庭とのつながりが薄れる中で、その代替機能を果たすことが保育士にも求められるようになりました。2001年、保育士は、「児童の保育及び児童の保護者に関する指導を行う」専門職として児童福祉法(第18条)に位置づけられ、「児童の保護者に関する指導」は保育の付加的な業務ではなく、保育と並ぶ役割であると定められました。実践が示すように保育士による子ども家庭支援は、保育の専門性に基づく理念や方法を有する援助行為です。しかし、保育士が子育て家庭への支援を業務として意識的に取り組み始めて年数が浅く、保育士が担う子ども家庭支援の理論は、体系化の途上にあります。
今後、保育士による子ども家庭支援が体系化され、保育士が専門職としての誇りをもって保育という職域の専門性を発揮しながら子ども家庭支援に取り組めることを願っています。本書がその一つの手がかりとなれば幸いです
・著者プロフィール
橋本真紀(はしもと・まき) 博士(学術)
関西学院大学教育学部教授。専門:子ども家庭支援論、地域を基盤とした子育て支援、保育の専門性を基盤とした子育て支援。単著に『地域を基盤とした子育て支援の専門的機能』(ミネルヴァ書房、2015年)、共編著に『地域子育て支援拠点ガイドラインの手引 第3版』(中央法規出版、2018年)、『子ども家庭支援』(中央法規出版、2020年)等がある。