2022.05.30.
【新刊紹介】原田大介教授『インクルーシブな国語科教育入門』(明治図書出版)

原田大介教授が『インクルーシブな国語科教育入門』(明治図書出版)を3月に出版されました。原田先生が当書籍を紹介してくださいます。

本書は、国語科教育のインクルーシブ化に向けて、ユネスコのインクルーシブ教育をめぐる議論を踏まえて論じたものです。学校現場で行われる「授業」という時間・空間の中でも、授業時数が最も多く割り当てられた教科「国語」に焦点を当て、その可能性と課題を検証しています。

インクルージョンとは、「包摂」や「包容」と訳される概念です。なぜ授業のインクルーシブ化をめざす必要があるのか、教育におけるインクルージョンをどう考えるべきか等、「教育とインクルージョン」をめぐる議論のたたき台になることをめざして本書を作成しました。

もとより国語科は、「国」ということばを冠したその名称が示すように、排除(エクスクルージョン)の側面が色濃く内在する教科です。他方で、少なくとも理念上は、話す、聞く、書く、読む、といった児童・生徒の言語行為や思考の多様性を保障する教科でもあります。「伝え合う力」を獲得することや「言葉による見方・考え方」を育成することについては、学習指導要領でも記されています。一つの教科に内在する多様性をめぐる矛盾や引き裂かれを、私たち教育関係者はどのように受けとめ、変えていくべきなのか。

国語科教育に限らず、「教育とインクルージョン」の分野に関心のある方に、本書をご紹介いたします。お読みいただければ幸いです。

 



・著者プロフィール

原田大介(はらだ・だいすけ) 博士(教育学)

1977年生まれ。関西学院大学教育学部教授。専門:国語科教育、授業研究、インクルーシブ教育。単著に『インクルーシブな国語科授業づくり』(明治図書出版、2017年)、共著に『インクルーシブ授業の国際比較研究』(福村出版、2018年)、『よくわかるインクルーシブ教育』(ミネルヴァ書房、2019年)等がある。