2023.03.14.
【新刊紹介】堅田智子助教『アレクサンダー・フォン・シーボルトと明治日本の広報』(思文閣)

堅田智子助教が『アレクサンダー・フォン・シーボルトと明治日本の広報外交』(思文閣)を2023年3月に出版されました。
堅田先生が当書籍を紹介してくださいます。

 「シーボルト」と聞いて誰を思い浮かべるでしょうか。江戸時代に国禁を侵し、日本地図を持ち出そうとして、国外追放処分となったあの「シーボルト事件」のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトではないでしょうか。
 本書で取り上げているのは、「開国」によって国外追放処分が解除され、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの再来日に12歳で同行した、長男アレクサンダー・フォン・シーボルトです。アレクサンダーは英国公使館での勤務を経て、約40年間にわたり、ドイツ人でありながらも明治政府外交官として、日本とヨーロッパを拠点に活動しました。本書は、世界で初めてアレクサンダー・フォン・シーボルトの外交活動や広報外交戦略を体系的にまとめた学術書です。
 広報外交戦略によってウィーン万国博覧会(1873年)を成功に導き、条約改正や黄禍論との戦いに挑み、「日本帝国近代史の化身」と評されたアレクサンダーの外交官人生とその業績、そして明治日本にもたらされた広報外交の裏面史を日独双方に眠る外交文書、日記、書簡、シーボルト家の末裔であるブランデンシュタイン=ツェッペリン家所蔵の資料から解き明かしました。
 私とシーボルト家との出会いは、1996年、小学校3年生の時に父に連れられて見学した江戸東京博物館での「シーボルト父子のみた日本」展でした。その年の夏休みの宿題で提出した自由研究は「シーボルトについて」であり、私のシーボルト家研究の原点です。あの時の私は、世界で初めてアレクサンダー・フォン・シーボルトに関する研究で博士論文を書き、学術書を出版することになることなど夢にも思いませんでしたが、シーボルト家や明治時代の滞日ドイツ人、日独関係史への興味関心は、今もまったく変わっていません

『アレクサンダー・フォン・シーボルトと明治日本の広報外交』 (思文閣,2023年3月発行)堅田智子著

・著者プロフィール

堅田智子(かただ・さとこ) 博士(史学)

1987年生まれ。関西学院大学教育学部助教。専門:歴史学、日独関係史、シーボルト家研究、広報文化外交。共著に『異文化を伝えた人々―19世紀在外日本コレクション研究の現在―』(臨川書店、2019年)、『異文化を伝えた人々Ⅱ―ハインリッヒ・フォン・シーボルトの蒐集資料―』(臨川書店、2021年)、1873年ウィーン万国博覧会―日墺からみた明治日本の姿―』(思文閣出版、2022年)、『プロイセン気質の日本人―明治の外交官・青木周蔵の横顔―』(久米美術館、2022年)等がある。