2019.11.15.
西本ゼミ 企業の課題解決に挑む大会で準グランプリ

赤穂市で街リノベーション

受賞後の西本ゼミ

受賞後の西本ゼミ

 企業が抱える課題を大学のゼミ単位で調査研究するプロジェクト「Mラボ『課題解決ラボ2019』」の公開プレゼン大会が10月26日、神戸ハーバーランド・スペースシアターであり、西本章宏・商学部准教授の3年生のゼミが準グランプリを獲得しました。

 Mラボは、兵庫県内の企業と大学を結びつける取り組みで、神戸新聞社と兵庫県中小企業団体中央会が実施しています。

 「課題解決ラボ2019」は、商品開発や販売戦略、マーケティング分析など企業から出された課題を、大学のゼミと企業が協力して調査研究するもの。各チームは研究成果を公開プレゼン大会で発表し、グランプリを目指します。今年は企業10社、11大学20ゼミの約250人(20チーム)が参加しました。

 西本ゼミは兵庫県を中心に旅館事業を展開している有限会社三晃商事(以下、三晃商事)と組み、兵庫県赤穂市に今年オープンした「加里屋旅館Q」のマーケティング戦略を考えました。

 ゼミ生は6月に三晃商事の担当者と顔合わせし、活動を開始。赤穂市で調査を重ね、「観光客が少ない」「商業施設の減少」という課題を発見し、一つの旅館だけではなく、地域全体で取り組む必要があることを導きました。そこで、空き家の集まる区画を一斉にリノベーションし、新たなシンボルを創る「街リノベーション AKO-KARIYA」を考案。商業施設の増加と地域の賑わいによる街全体の活性化を目指しました。

 ゼミ生はまず、三晃商事の強みである「赤穂での商売ノウハウ」や、「地域と共に街を創る旅館」という理念に着目。「新たな事業を始めたいが、赤穂での商売が成り立つのか」と不安を抱く経営者に、三晃商事を経営アドバイザーとして活用できる仕組みを整えました。

 次に街リノベーションで実績を持つG-FLAT株式会社や、空き家の所有者を訪問。都市部から地方へ人が流れていること、西播磨地区には空き家を売却したい所有者が約27%いること、リノベーションした空き家の貸し出しに全国から商業目的の問い合わせが多数あったことなどがわかりました。また、三晃商事とG-FLAT株式会社のマッチングに成功。商品やサービスを通じた社会課題解決を支援する株式会社良品計画 「ソーシャルグッド事業部」の賛同も得るなど複数の企業を巻き込んだプロジェクトに発展させ、実現性のあるプランを練っていきました。

 公開プレゼン大会での発表テーマは「地域貢献に結びつく旅館のリ・デザイン」。街リノベーションによる新たなシンボルを創ることで観光客を増やし、企業、地元、行政にメリットが生まれ、互いに支援、連携する好循環を創ります。今後は、パートナー企業の勧誘、住民説明会や商店街組合との合意といった地域との連携、補助金の要請といった行政への提案を計画しています。審査員からは、パートナー戦略を取り入れたこと、実現可能性や持続性、市外のリソースも取り入れていることなどが評価されました。

 ゼミ生らは「準グランプリの発表で西本ゼミの名前が呼ばれた時はうれしさよりも、グランプリを逃した悔しさの方が強かった。このプランは発表で終わりではなく、実現までしっかり取り組む予定。今後も調査や企業・団体との連携を続けていく」と意気込んでいます。