低次元複雑系研究室

高橋 功 (たかはし いさお) 教授

低次元複雑系研究室

研究分野:
薄膜・表面構造、複雑系、シンクロトロン放射光
研究室サイト

研究テーマ説明

物性物理学上の未解決問題、ガラスの物理に挑む

人類は何千年も前からガラスを作り活用してきました。もちろん天然物の中にも(私たちの体の中にも)数多くのガラスが存在します。スマホやタブレット端末のタッチパネルなどは現代を代表する高度なガラスと言ってよいでしょう。まさにガラスに囲まれて生活している私達ではありますが、なぜ液体を冷やすとどろどろの液体があっという間にガラスになるのか、そもそもどの段階でガラスになったと断定できるのか、現代の物理学をもってしてもそれらの素朴な疑問に対して明確な解答を与えることができていないのだと言われたら、皆さんはどうお感じになりますか?
低次元複雑系研究室では原子のつぶが認識できるほどの人類史上最も薄い(?)ガラスを作り、ガラス化、液化、結晶化を精密に観察することで物性物理学上の未解決問題のひとつであるガラス転移の本質に迫る研究を行っています。

具体的に行っている研究活動

熱処理前後の生分解性高分子薄膜の原子間力顕微鏡像

熱処理前後の生分解高分子薄膜の微小角入射広角X線回折像

強力なX線ビームとシンクロトロン放射光を用いて10億分の1メートル厚さのガラスの本性を発見する

ガラス形成物質の研究は複雑系の物理の一分野として発展してきました。研究室では紐状の高分子(プラスチック)を数ナノメートル程度にまで薄く形成した際のガラス化の過程を研究室のX線や大型放射光施設SPring-8の放射光、原子間力顕微鏡等を用いて観察を行い、厚みのある通常のガラス(3次元ガラス)とは多くの点で本質的な違いが顕れることを見出してきました。3次元ガラスを2次元世界のガラスに近づけていくことで(薄くすることで)、通常のガラスでは見えてこなかった真理が明らかにされるものと期待しています。

研究室の雰囲気

理学部の研究は基本的ななぜに答えるための研究であり、原理・しくみ追求型の研究が主なものであると考えられますが、高機能のタッチパネルの例にもみられる様に、ソフトマターとして知られる機能性高分子による極薄ガラスや極薄結晶は応用上の重要性が増している素材でもあります。低次元複雑系研究室では理学部物理学科時代より多くの学生が卒業研究を行い、半数以上がさらに大学院に進学し研究を続けてきました。基礎科学志向の学生にはガラス転移それ自体を研究するテーマに取り組み、応用志向の学生には導電性高分子や環境に優しい生分解性高分子、バイオマス高分子超薄膜の研究を行うという様に、学生個々の興味を満たすと同時に科学技術の発展に寄与するスタイルを取ってきました。研究成果が得られた場合は成果を出した学生自身が国内外の学会で発表し論文を発表するという様に、情報発信とプレゼンの技法を身に着けることに対しても力を入れています。