そうせいTIMES 第7号 総政のフィールド・ワークは、世界がキャンパス。世界市民として、国際感覚を実践的に身につけます。(2013/12/02 発信)

[ 編集者:総合政策学部・総合政策研究科       2015年6月11日   更新  ]

今井一郎教授は生態人類学。小西尚実准教授は国際協力・国際人事政策。同じ学部でありながら、専門分野が異なる二人の対談。
一見、全く違う分野に思える二人に共通するキーワードは「フィールド・ワーク」。総政の魅力を語る上で欠かせない取り組みのひとつです。

※ pdfファイルからも同じ内容がご覧いただけます。

◆教員のステータス、担当授業科目は、2013年12月2日発行時点。

各教授陣

紛争、難民、貧困、環境破壊など、複雑かつ多層化する国際問題

小西准教授

小西准教授

世界には、複雑に絡み合っている国際問題が本当に多くあると感じます。しかしその中で特に残念に感じるのは、国外のことに対して日本人の問題意識がとても低いことです。世界195ケ国の中、150ケ国以上が開発途上国。その多くは貧しく、大人は雇用の機会を失い、子どもはまともな教育が受けられません。また、適切な医療にアクセスできず、パンデミック(世界的な感染症の流行)の脅威が広がる等、途上国で起こる様々な問題が、ダイレクトに世界に影響を与えます。私たちは、自国のことだけでなく世界的な問題にもっと目を向けていく必要があります。

今井教授

今井教授

私も同感です。グローバリゼーションが進む中、今挙げて頂いた問題は一つの国で収まるものではありません。社会的不安として世界全体へ増幅し、紛争に繋がるところもあると思います。国際社会の一員として現状を直視し、積極的に解決策を導く必要性を感じます。そのためにも、現地に行って自分の目で確かめ、そこで起きている「真実」を学ぶことが大切です。

小西准教授

小西准教授

私がフォーカスしているアジア諸国も貧困人口が多く、様々な問題が複雑化しています。例えばこれを国連という1アクター(行動主体)だけで対処することは難しいでしょう。国際問題を解決する為には、援助・支援活動が重複しないように無駄を無くし、同時に活動の隙間を生まないようにすることが肝要です。そこでは、国際NGO、企業やコミュニティレベルなど、多様なアクターの相互協力が必要となります。

今井教授

今井教授

その通りですね。私の調査フィールドでは、住民たちがまわりの自然環境について、学校教育を受けておらず識字率も低い水準に止まっているにも関わらず、とても豊かな知識と経験を持ち合わせています。私たちの社会では、近代科学に基づいて自然環境を理解し問題解決を図ろうとします。国際援助に携わる組織・機関のスタッフの多くは、地域社会が伝統的に育んできた土着知識を非科学的なものとして否定したり、無視して事業を進めていく場合が多いのです。しかし、近年はこれらの伝統知識や手法を再評価して問題解決に役立てようとする動きが出てきました。

現地社会の文化への理解不足

今井教授

今井教授

そういう例もありました。国際援助に関わる組織・団体の中には、現地の歴史文化をよく調べずに先進諸国で実施している技術やシステムをそのまま当てはめて動かそうとする傾向があるようです。それでうまくいかないことがあるのは事実ですが、それは現地の人びとの知識が無くて怠けているからではありません。そのやり方には地域の方式に合致しない部分があるからなのです。地域の人びとには敬意を持って接する必要がある、ということを学生たちに伝えていきたいです。

小西准教授

小西准教授

私もそのことに共感を覚えます。例えば、以前ラオスの教育プロジェクトに関わった事があります。国土の約7割が森林で、49の民族が暮らす多民族国家の中には、数年ごとに住まいを移動する習慣のある民族もいます。学校を建て、教育を受けることになると定住を強いられ、何百年と続いてきた生活文化を壊すことにもなりかねません。政府としては学校を作って教育を充実させ、経済発展につなげていきたいという思いがある中で、どのような教育が当該国の人たちにとって最適なのか、政府と国際機関に多様なアクターを巻き込み議論が展開されました。