そうせいTIMES 第4号 ポスト3.11 ソーシャルメディアが求める学び・研究~震災復興から考える「メディア・情報」の役割とは~(2012/03/17 発信)

[ 編集者:総合政策学部・総合政策研究科 2015年6月11日 更新 ]

メディアにとらわれない受け取り手の資質を

畑教授

畑教授

メディアに関わる者として、震災直後はメディアの発信の仕方、映像というものの役割などに着目していました。そこでは、既存のメディアが大きな役割を果たすことが出来ず、正確でない情報が垂れ流しになっている反面、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアが情報ツールとして台頭していく様子が鮮明でした。ソーシャルメディアを通しての情報提供は、発信も反応も早いというメリットの一方で、一過性の情報として扱われるため、知識が風化しやすいという弊害があります。

私の講義では、被災者の方が撮影した、津波が来るまでの8分間の映像をノーカットで見て考えました。津波が来たから逃げてください、というアナウンスがあっても人々が逃げない様子。じわじわと迫り来た津波が一瞬で街をのみ込んでいく様子など、これをすべて見るか、ニュースなどで断片的に見るかで、受ける印象は大きく異なります。既存のメディアにとらわれない情報の取捨選択、そして新たな伝達の仕方の模索が必要だと考えます。

伊佐田准教授

伊佐田准教授

ツイッターやフェイスブックのようなソーシャルメディアが登場し、世の中にムーブメントが起きやすくなっています。ツイッターのような新しいメディアの登場によって情報の流通の速度が速まり、拡散の範囲が拡大しました。これからも様々な新たなメディアが登場してくることでしょうが、そのような中で、発信側の特性を理解し、溢れかえる情報の中から適切な情報を手に入れ、判断し、行動できる「受け取り手」の資質の教育が欠かせません。

震災時の原発に関する報道でも、日本と海外のメディアの報道は大きく異なりました。自国のメディアの情報だけを見ていると、どうしても偏った意見を持ってしまいがちです。ニュートラルな判断や意思決定のためには、様々なルートで情報を収集し、メディアを適切に使いこなすことができるメディアリテラシーを持った人材を育てる必要があります。また一方で、日本と海外のマスメディアの伝え方の違いの理由を考えていくことも大切だと思います。