そうせいTIMES 第1号 ポスト3.11 関学総政宣言2011 自然と人間、総合性の復活~そのとき総合政策学部はどう動いたか(2011/7/30 発信)

[ 編集者:総合政策学部・総合政策研究科 2015年7月22日 更新 ]

多様な専門分野の研究者が集うことで総合的にアプローチ

室崎教授

室崎教授

ボランティアに行くためには、自分で責任を全うする自己完結が原則です。このために、私たち教員は被災地でのボランティア活動を希望する学生に、事前に注意事項などをしっかり指導する必要があります。そして、帰ってきたら現地での取り組みをまとめるように伝えています。
こうした一連の流れを学生に分かりやすく紹介するため、HPを立ち上げました。山田先生が震災支援ブログをお作りになり、そこにアクセスすると、ボランティア活動を行なうに当たっての研修ビデオを見ることができます。(下記URLから視聴ください)

震災 災害支援ボランティア事前研修 File.1 (In Japanese Only) 外部のサイトへリンク

山田教授

山田教授

総合政策学部には、多分野で活躍されている先生がいらっしゃいます。
今回、ボランティア事前研修のための室崎先生の講義を学内のスタジオで収録し、一週間程の突貫工事でYou Tubeにアップしました。映像として内容の深いものを短時間で作り出せたのは、総合政策学部の中に各専門分野の先生方がおられるということのメリットであり、大きな特徴だと思います。

室崎教授

室崎教授

今回のような大災害では、多くの要素が絡まり、問題を一層複雑化させています。日本の将来に大きく関わる政治、経済、教育、さらに環境問題といった大きな問題から、被災された方々の日常生活などあらゆる問題が含まれているのです。このため、個々の学問分野からのアプローチだけで解決をめざすことは不可能です。さまざまな分野の人が深く関わりあえるネットワークを作っていかなければなりません。多彩な専門分野を持つ先生方がいる総合政策学部は、それを可能とする条件を備えていると思います。

今回の災害への関わり方というのは、まさに総合政策が問われているし、総政が果たす役割は非常に大きいのではないかと感じます。

集団の中心として活躍する学生が多数存在する総合政策学部

長谷川教授

長谷川教授

3.11以来関西学院では、多彩な支援活動を展開していますが、それぞれの場所で総政の学生が核となって活動しているように感じます。学生同士だからどうしても小さな仲間集団になりがちです。しかし、こうした集団がいくつも立ち上がり、互いに連絡を取り合い、できることをやっていく中で繋がりを広げ、深めていっているという点で、大変意義深い活動になっています。こうした活動を展開している学生こそ、より総合政策的だと思います。

村瀬専任講師

村瀬専任講師

「支援とはこうでなければならない」というのではなく、いろんな形の支援があるということが前提になっています。学生たちの活動をみていると、トップダウンではなく対話を重ねて人が全体の調和を図りながら、現実的に対応して行っているように思います。結果として、バランスのとれた活動につながっているのでしょう。

室崎教授

室崎教授

まさに、「関学総政宣言」にも掲げている「総合性の復活」を、学生が日々の活動の中で実践しているということになります。

学びの中に今回の体験をどう反映させるのか

長谷川教授

長谷川教授

大学という建物の中だけで、学びは完結しないということですよね。大学で学んだことを、実際の社会の中でしっかりと検証していくことが重要です。今回、東日本大震災を経験して、大学で学んだ震災復興・震災支援などを、現実に必要としている地域でどのように生かしていくのか考えるという大切な機会になったと思いますね。
もう一つは、人間が一人でやれるということは限られているということです。学生個々ができることを生かしながら、全体として取り組んでいく、つまり、連帯の必要性を実感したと思います。

室崎教授

室崎教授

大学で学ぶというのは、大きい意味で言うと人類の幸せや社会の進歩に、主体的に関わっていく力をつけることです。その時代、その世界で一番問題になり、人々が解決を求めていることを発見するということ。つまり、自分のテーマを見つけるということが大切です。

今、東日本大震災というとても大きな災害が起きている。地球上で起きている様々な事象に対し、基礎科学、哲学、さらには数学であれ、学ぶことは密接に関係しているのです。まさに東北で起きていることを肌で感じて、それを大学に戻って意味づけをしたり、深めたりという作業が大切です。これからの若い人たちは東北の現実をしっかり見て、大学に持ち帰れば、いい学びができると思います。

村瀬専任講師

村瀬専任講師

総政での学びの特色は2つあります。ひとつは、現場とそこで生きる人々を着地点とする学びだということ。私たちの学問は元々そこから始まっているということに繋がります。現場と、学内での研究という両サイクルの学びです。

もうひとつは、全学的に掲げてきた関西学院のスクールモットー"Mastery for Service"が、カルチャーとして息づいていることです。厳しい状況に置かれた人々に共感して、心から関心を寄せ、いろんな実践に結実させていくというところに、"Mastery for Service"の大事なところがあると思います。そこをやっていくのがまさに総政だなと思いますね。(関西学院のスクールモットーについては下記をご覧ください)

山田教授

山田教授

総合政策の学生は、社会に果敢に踏み出す勇気を持ち、そこで得たものから、大学での学びの動機をつかみなおしてきます。加えて人に寄り添うことを大事にする、ということが学べる学部だと思います。

(以上)