学部設立10周年記念特集『数字で見る人間福祉学部』第1回:学部のルーツとこれから
[ 編集者:人間福祉学部・人間福祉研究科 2016年11月30日 更新 ]


人間福祉学部長 大和 三重(おおわ みえ)
関西学院大学人間福祉学部のホームページをご覧いただきありがとうございます。人間福祉学部長の大和 三重(おおわ みえ)です。
さて、この度「数字で見る人間福祉学部」と題して、人間福祉学部に関わりある数字を教員が取り上げ、その数字を切り口に学部の特色や思いを紐解いていくという特集(スペシャルページ)を立ち上げることとなりました。
第1回目となる今回は、私が「学部のルーツとこれから」というテーマでお話し、その後は、「入試(第2回)→教務・授業(第3回)→学生生活(第4回)→国際交流・留学(第5回)→キャリア・就職(第6回)→大学院(第7回)」という流れで、学生が入学してから卒業していくまでを追うような順で、それぞれのフェーズで実際に業務を担う教員が話を展開していきます。
ここでしか知ることができない内容も随所に出てくることと思いますので、どうぞお楽しみに。
では、早速、第1回の「学部のルーツとこれから」についてお話いたします。
人間福祉学部の起源

人間福祉学部へと引き継がれる理念「3つのC」
「学部のルーツとこれから」というトピックをお話しするにあたって私は「10」という数字を選びました。そう、人間福祉学部は2018年4月で学部設立10周年を迎えるのです。
人間福祉学部の設立は2008年。まだまだ若い学部ですが、そのルーツは約60年前に遡ります。
1952年。関西学院大学に文学部社会事業学科が誕生します。これが、人間福祉学部の起源と言えます。その後、1960年に社会事業学科は、同じく文学部社会学科とともに、社会学部となります。社会学部 第2類:社会福祉コース(専攻)として、現在の日本の社会福祉をリードする、多くの卒業生を輩出いたしました。関西学院大学の社会福祉のカリキュラムは、日本一と言われ、1989年、社会福祉士を国家資格とする際、その教育モデルとして文部科学省が「関学モデル」と称したほどです。
1999年には、学科として独立し、社会学部社会福祉学科となりました。学科理念として、「3つのC」(Compassion:人への思いやり Comprehensiveness:幅広い視野 Competence:高度な問題解決能力)を掲げ、この理念は人間福祉学部へと引き継がれることとなります。
そして、2011年3月、最後の「社会学部社会福祉学科生」を社会へと送り出しました。
社会学部から人間福祉学部へ

人間福祉学部があるG号館 夜の風景
2006年より構想2年。ついに2008年、社会福祉学科・社会起業学科・人間科学科の3学科構成で人間福祉学部が誕生しました。
これまでの社会福祉研究の歴史や伝統、実績に甘んじることなく、スポーツ科学・健康科学研究および社会経済研究との連携を図り、人間や社会が抱える諸課題を解決することで、質の高い生活とより良い社会の実現に貢献することをミッションとし、設立以来、教育研究を重ねてきました。
今では、人間福祉学部を巣立った学生たちが、福祉分野だけではなく、民間企業や行政機関、教育現場をはじめとする多様な領域で、それぞれの立場から社会の課題に立ち向かっています。
人間福祉学部が目指すもの
人間福祉学部とは、その名にあるように人間の福祉を向上させるために、そのための考え方や方法を学び研究する学部です。では、「福祉」とはそもそもどういう意味なのでしょうか。福祉とは、社会の人々が幸福に暮らせる生活環境や、そのための社会的な制度のことを指します。
残念ながら社会における課題は様々な規模で依然として多く存在しているのが現実です。今なお、日本を含めた多くの国や地域で、貧困、紛争、戦乱、災害などによって生活の破綻を強いられ、適切な支援さえ差し伸べられていない人々が多く存在しています。こうした社会的な課題を解決することで幸福に暮らせる生活環境へと導くことが強く求められています。
一方、社会環境における課題の解決だけではなく、人間そのものにも目を向け、QOLの改善や社会の中での自己実現を支援することもまた福祉の向上であると人間福祉学部では捉えます。例えば地位もあり金銭的にも恵まれており社会的に満たされているように見えても、生きる意味や自らの存在価値が見出せず悩む人もいるでしょう。また、身体を動かしてスポーツを楽しみたいにもかかわらず、障害などでそれが叶わずやりきれない思いを持つ人もいるでしょう。このような人間自身の持つ生きづらさを支援することで「こころ」と「身体」両面の健康を向上させ、幸福へとつなげることも必要です。
人間福祉学部では3学科(社会福祉学科、社会起業学科、人間科学科)に分かれ、それぞれの専門分野を学びますが、3学科ともに共通し学部として目指すものは、人間と社会が持つ課題を解決し、質の高い生活とより良い社会を実現することなのです。
最後に ~10周年に向けて~

人間福祉学部長 大和 三重(おおわ みえ)
1952年に文学部社会事業学科から始まり、約60年に渡り積み上げられてきた伝統と実績を引き継ぎ、2008年に人間福祉学部として生まれ変わってから10年。本学部は2018年で一つの大きな節目を迎えます。
しかし、学部としてはまだまだ若く、道半ばです。これからも教員と学生が切磋琢磨し合いながら、教育研究を深化し、「人間」と「社会」とその「交互作用」を包括的に捉え、超少子高齢社会において、尊厳とゆとり、そして多様な意味での健康と福祉に支えられた質の高い生活とより良い社会の実現に、社会福祉士、精神保健福祉士、あるいは教師といった専門職としてだけではなく、地域及び国際社会において一市民として貢献する人材を育んでいきたいと考えています。
ひいては、「人間福祉」の多様性と可能性を社会に発信し、「人間福祉」という学問領域を社会に浸透させることを目指し、この先もずっと成長を続ける学部でありたいと願っています。
10周年に向けて、記念事業として講演会等、各種企画を準備しております。詳細については、随時、本学部ホームページにてお知らせいたします。
今日的な課題を見つけ、私たちとともにその解決に向けて取り組むことにチャレンジしようという気概を持った方をお待ちしています。
★次回予告★
次回、第2回は入学試験について、人間福祉学部の入試制度設計の責任者である「池埜 聡 学部長補佐(入試担当)」がその特徴や受験生に期待する思いを語ります。
受験生は必見です!