[ 人間福祉学部 ]学部長メッセージ
人間福祉学部長 山 泰幸
関西学院はアメリカ人宣教師のW.R.ランバス(1854~1921)によって、1889年に原田の森(現在の神戸市灘区)に設立されたのが始まりです。教師5人と生徒19人のとても小さな学校として出発しました。その後、関西学院に集うすべての先人たちのたゆまぬ尽力の積み重ねによって、いまや幼稚園から大学・大学院、インターナショナルスクールまでを有する総合学園として発展しています。
関西学院をこのように大きく育んできた原動力が、第4代院長C.J.L.ベーツ(1877-1963)の提唱したスクールモットー、“Mastery for Service”です。「奉仕のための練達」と訳されるこの言葉は、よりよい社会の実現に向けて、隣人や他者を思いやり、世の中に仕えて生きる人間の姿を理想として、人類に対してよりよい働きができるように自ら鍛錬し、人間的な成長を求め続ける生き方を表しています。
このようなスクールモットー“Mastery for Service”の理念をもっともよく体現する学部を目指して、創立120年目となる節目の年に設立されたのが、人間福祉学部なのです。
人間福祉学部はその名の通り、人間の福祉(ウェルビーイング)を追求するための学問を研究、教育する学部です。すなわち人間とその生活環境としての社会、そしてその両者の交互作用に関わる課題に対してソリューション(課題解決)を提供することによって、すべての人びとの質の高い生活と社会の実現を目指し、それらに貢献できる人材を輩出することを目標としています。
“Mastery for Service”の理念にふさわしい、まさに関西学院らしいエッセンスと魅力がいっぱい詰まった人間福祉学部で、隣人や他者を思いやり、世の中に仕えて、よりよい働きができる人間を目指して、みなさんとともに学び合える機会を与えられたことを、心より感謝したいと思います。
本学部の教育理念 3つのC(Compassion、Comprehensiveness、Competence)
本学部の教育理念は3つのC(Compassion、Comprehensiveness、Competence)です。
Compassion とは、使われる場面によって多様に用いられますが、人間福祉学部では「人への思いやり」という意味で捉えています。つまり人間の幸福を追求するうえで、人への思いやりなしに実現することはできず、これこそ社会に生きる中で人として最も必要とされる本質であると考えるからです。
次にComprehensivenessとは、物事をみる際の視点を一元的な見方や目前のことだけに捉われるのではなく、広い視野に立って問題解決に向けての糸口を見出すことの重要性を意味します。
最後にCompetenceとは、それら多種多様な課題に対して、問題解決に向けて取り組む際に必要となる卓越した能力のことです。