組織分化制御学(平井)研究室

青野 裕一 (あおの ゆういち) 助教

組織分化制御学(平井)研究室

研究分野:
分子細胞生物学、 細胞・組織分化、 ケミカルバイオロジー
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天然物質の働きから生命現象を理解する

 私たちが日常で口にする食品や体調不良の際に口にする生薬等には、私たちにとって有用な植物・動物性の天然物質が豊富に含まれています。これらの天然物質は私たちの体を構成している細胞内外の高度な分子ネットワークに影響を及ぼすことで、健康維持や不調の改善といった効果を発揮することが知られています。このため、天然物質の作用のしくみを解き明かすことは、私たちの体に本来備わっている生命維持のしくみの一端を解明することに繋がると考えられます。これらの知見は、さらに効果的な健康維持法の提示や、疾患の治療薬の開発に貢献する可能性も秘めています。私は、様々な天然物質の作用を起点として幅広い生命現象を明らかにする研究(ケミカルバイオロジー研究)を行っています。

天然物質の作用メカニズム解明から皮膚を正常に保つしくみと皮膚疾患の予防法を探る

 現在、私は皮膚の分化を制御する効果と皮膚疾患の予防効果が期待されている天然物質に注目し研究を進めています。私たちの皮膚は、外界からの刺激に対するバリアの役割を果たしています。このバリア機能を維持するには、皮膚細胞が体内から外界に向けて性質の異なる細胞へと変化(分化)し最終的には剥利する、というサイクルが正常に機能していることが重要です。皮膚の分化は皮膚細胞内外の分子のやり取りによって緻密に制御されていますが、この制御の乱れは疾患の発症原因ともなります。そのため、皮膚の分化制御・疾患予防効果を有する天然物質の作用メカニズムの解明は、皮膚の正常性を保つためのしくみを明らかにすることにつながるとが考えられます。私は、実際に皮膚の細胞に天然物質を作用させて細胞の中で何が起こっているかを解析し、ナノ磁性ビーズというケミカルバイオロジーの技術を用いながら、天然物質に直接作用する分子を特定した上で皮膚の正常性を保つ仕組みと皮膚疾患の発症メカニズムの全貌の解明に向けて研究を進めています。