2014.12.03.
阪神・淡路大震災20年、災害復興制度研究所10年事業「2015年復興・減災フォーラム」開催のお知らせ

「震災バネ」という言葉がある。「ポスト・トラウマティック・グロース」「逆境の効用」という用語も東日本大震災のあと注目され始めた。いずれも、被災という辛い体験でくじけるのではなく、逆にこの逆境を糧にして人として成長し、新しい災害文化を形成していくことを意味するのだという。震災バネ、もしくは復興バネという造語は、1995年の阪神・淡路大震災で生まれ、2004年の新潟県中越地震で市民権を得た。一方、ポスト・トラウマティック・グロース(心的外傷後の成長:PTG=Posttraumatic Growth)という概念は、米・ノースカロライナ大学シャーロット校心理学部教授のリチャード・テデスキ博士らが中心となって過去20年間にわたって研究されてきた、いわゆるポジティブ心理学の用語だが、2011年の大震災以降、注目されるようになった。また、「逆境の効用」という言葉は、米国の心理学者ジョナサン・ハイトが著書「しあわせ仮説」の中で使っている。いずれにせよ、ともすれば「負のスパイラル」のみに注目がいく被災体験をポジティブに捉え、前向きに生きる人たちにスポットをあてようとの考え方だ。復興のステージから退場を余儀なくされている多くの人たちを再起のスタート台に戻すには、法制度の充実や支援のための社会システムの構築が必要だが、とりわけ、「負けるものか」と立ち上がる人々の力は欠かせない。阪神・淡路大震災から東日本大震災まで「内なるバネ」「外なるバネ」を働かせ、「災害文化」を築いてきた人たちにお集まりいただき、「震災バネ」とは何か、震災バネを最大限働かせるための社会的環境の整備とは何かなどを話し合う。

日 程 2015年1月10日(土)~12日(月・祝)
・10日(土)13:00~17:30
全国被災地交流集会 円卓会議 「震災バネがつなぐ復興への想い」
・11日(日)13:00~17:00
リレートーク「届け 震災バネが伝える復興への想い~KOBEからTOHOKUへ」
・12日(月・祝)13:00~17:00
災害ボランティア20年ワークショップ-これからのボランティアと対話の力
・12日(月・祝)10:00~17:00
公開セミナー:研究報告会「阪神・淡路大震災の教訓からみた東日本大震災」
会 場 10日(土)関西学院会館  レセプションホール
11日(日)関西学院会館  レセプションホール
12日(月・祝)関西学院会館レセプションホール、関西学院大学F号館104教室

プログラム

■10日(土)全国被災地交流集会 円卓会議「震災バネがつなぐ復興への想い」
会 場:関西学院会館 レセプションホール

第1部 【人に寄り添う】 13:0014:40
・村井 雅清 (被災地NGO恊働センター 代表、CODE海外災害援助市民センター 理事)
・能島 裕介 (特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー 理事長)
・中埜 翔太 (震災遺児、神戸市外国語大学4年)
・八木俊介(あしなが育英会 神戸レインボーハウス チーフディレクター・虹の家課 課長)
・保坂 隼人 (東北学院大学災害ボランティアステーション 前学生代表)
・西山 祐子 (一般社団法人 みんなの手 代表理事)
・西崎 伸子 (福島大学行政政策学類 准教授)
・古部 真由美 (東日本大震災県外避難者西日本連絡会 まるっと西日本 代表)
・田並 尚恵 (川崎医療福祉大学 准教授) ・高橋 征仁 (山口大学 人文学部 人文社会学科 教授)
第2部 【地域に寄り沿う】 14:5017:00
・中村 順子 (認定NPO法人 コミュニティ・サポートセンター神戸 理事長)
・野崎 隆一 (建築事務所代表、NPO法人神戸まちづくり研究所 事務局長)
・山下 弘彦 (日野ボランティアネットワーク コーディネーター)
・稲垣 文彦 (公益社団法人中越防災安全推進機構 復興デザインセンター長)
・上村 靖司 (長岡科学技術大学 教授)
・宮下 加奈 (ネットワーク三宅島 代表)
・伊藤 廣司 (山菜茶屋ざらぼう、元花山震災復興の会「がんばっぺ」事務局長/宮城県栗原市)
・義元 みか (天栄むすび屋/福島県岩瀬郡天栄村)
・藤田 浩志 (ふじた農園 安子島米米生産倶楽部/福島県郡山市)
・染谷 亜紗子 (花泉酒造合名会社/福島県南会津郡)
・曽田 めぐみ (女子の暮らしの研究所/福島県郡山市)
・北村 育美 (福島大学 ふくしま未来学(COC)推進室事務局 地域コーディネーター、中越からの応援) ・宮本 匠 (京都大学防災研究所 特定研究員)
第3部 【震災バネと災害列島】 17:0517:30
・宮崎 汐里 (中央大学被災地支援学生団体ネットワーク)
・渡邊 恵理香 (動画配信授業受講生/岩手県盛岡市)
・土方 正志 (出版社「荒蝦夷」代表取締役/宮城県仙台市)
・矢野 奨 (河北新報社 報道部副部長)
・室﨑 益輝 (公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 副理事長兼研究部長) ・岡田 憲夫 (関西学院大学災害復興制度研究所 所長)
☆司会: 山中 茂樹 (関西学院大学 災害復興制度研究所 主任研究員・教授)
松田曜子 (関西学院大学 災害復興制度研究所 研究員・准教授)

■11日(日)リレートーク「届け 震災バネが伝える復興への想い~KOBEからTOHOKUへ」
案内人:妹尾和夫・魚住由紀(MBSラジオ「ネットワーク1・17」のゴールデンコンビ)
会 場:関西学院会館 レセプションホール

13:00~13:10
開会の挨拶
ルース・M・グルーベル (関西学院 院長)
村田 治 (関西学院大学 学長)
13:10~14:10
解題
山中 茂樹 (関西学院大学 災害復興制度研究所・教授)
14:10~16:50
リレートーク
<第1組>14:1015:20
・加藤 りつこ 
広島市安佐北区在住。広島と福島を結ぶ会会長。阪神・淡路大震災で神戸大学法学部2年生だった一人息子(当時21)を失う。生前、母親への感謝の思いをつづった手紙「親愛なる母上様」が作曲家によって曲となり、2008年以降、作曲家とともに全国で演奏会を開いてきた。東日本大震災が起きてからは福島県いわき市と交流を続け、とりわけ福島県立いわき海星高等学校の応援に力を入れている。広島土砂災害被災地の支援も。
・中埜 翔太 
神戸市東灘区在住。神戸市外国語大学外国語学部国際関係学部4年。阪神・淡路大震災で母親を失い、祖母に育てられた。小学1年の時にできた震災遺児の心のケア施設「レインボーハウス」に通って育った。2008年5月の四川大地震や2010年1月のハイチ大地震で、親を亡くした子どもたちを励ますため、あしなが育英会の使節団として被災地を訪問。現在は東北の被災地を訪ね、子どもたちの遊び相手になっている。

<第2組>15:3016:50
・西山 祐子 
福島市出身。仙台・東京で英語講師、通訳等の仕事に従事。出産を機に福島市に戻り子育て中、被災。東日本大震災が起きてからは東京を経て2011年6月に京都へ3歳の娘と父母と避難する。2011年12月に 県外避難者の支援団体「避難者と支援者を結ぶ京都ネットワーク みんなの手」を設立。2013年5月には避難者の就労支援も兼ねて避難者と地域を結ぶコミュ二ティカフェ「みんなのカフェ」をオープンした。
・西崎 伸子  福島市在住。福島大学行政政策学類准教授。専門はアフリカ地域研究・環境社会学。夫と小学校4年の娘が兵庫県の丹波篠山に避難中。東日本大震災後は、福島乳幼児妊産婦ニーズ対応プロジェクト・福島の子ども保養プロジェクトなどで未就学児童を育てる家族の避難や保養の支援をおこなう。アフリカ研究では、動物保護区の開設に伴い居住地を追われた現地人の抵抗運動と福島の原発避難とを重ね合わせての研究も検討中。
16:50 閉会 岡田 憲夫(関西学院大学災害復興制度研究所 所長・総合政策学部教授)

【主  催】 関西学院大学 災害復興制度研究所
【共  催】 日本災害復興学会 
【後  援】 朝日新聞社 

日本災害復興学会関連事業

■12日(月・祝)災害ボランティア20年ワークショップ-これからのボランティアと対話の力
主催:災害ボランティア20年ワークショップ実行委員会
(日本災害復興学会・震災がつなぐ全国ネットワーク・関学災害復興制度研究所で構成)
会場:関西学院会館 レセプションホール

趣旨:
阪神・淡路大震災で「災害ボランティア」が社会的に認知されてから20年が経った。この間、数々の地震、水害そして東日本大震災を経験し、日本における災害ボランティアの文化は確実に育ってきたといえる。特に、市民向けの養成講座や災害ボランティアを支える諸制度の整備などでその機能性は格段に高まった。しかし一方で、ボランティアの最も根源的な行為である「コミュニケーション」については関心が払われることなく置き去りにされてきたことはないだろうか。本事業は、ボランティアの基本とも言える「人と人とのコミュニケーション」という要素に焦点を合わせ、神戸世代、中越世代、東日本世代、そして将来の被災地を担う世代が目指すボランティア像をともに考える。

13:00~13:10
趣旨説明
松田 曜子 (関西学院大学 災害復興制度研究所・特任准教授)
13:10~13:40
ワークショップ
演劇の技法を取り入れたコミュニケーション教育に造詣の深い平田オリザ氏(劇団青年団主宰)を講師に迎え、災害ボランティア関係者約30人参加のワークショップを行い、「人と人とのコミュニケーション」としてのボランティアの役割を改めて考える。
13:50~15:20
基調講演
「文化による社会包摂-緩やかなネットワーク社会を目ざして-」 平田 オリザ(劇団青年団主宰、東京藝術大学アートイノベーションセンター特任教授)
15:30~16:40
パネルディスカッション

「“ボランティア”と“被災者”の対話の力」
・室崎益輝(ひょうごボランタリープラザ 所長)
・関学生ボランティア(調整中)
・東北学院学生ボランティア(調整中)
・浦野愛(レスキューストックヤード 常務理事)
・吉椿雅道(CODE海外災害援助市民センター 事務局長)

・司会/関嘉寛(関西学院大学災害復興制度研究所 副所長・社会学部教授)
16:40 閉会

■12日(月・祝)公開セミナー:研究報告会「阪神・淡路大震災の教訓からみた東日本大震災」
主催:東日本大震災検証プロジェクト委員会
(日本災害復興学会 復興法制度研究会、関学復興研 法制度研究会で構成)
会場:関西学院大学 F号館104号室
趣旨:
阪神・淡路大震災とその後の災害教訓をベースに、東日本大震災で制定された法律や制度運用などについて調査・検証する。事業は2014年度、15年度、16年度の3カ年計画とし、初年度は調査・検証・口頭発表、次年度は、検証本の刊行、最終年度は、これらの成果をもとに被災者総合支援法のあらまし策定に向けて議論を深める。

【午前の部】
10:00~10:05
挨拶
室崎 益輝 (公益財団法人 ひょうご震災記念21世紀研究機構 副理事長 兼 研究部長)
10:05~10:10
趣旨説明
山崎 栄一 (関西大学 社会安全学部 准教授)
10:10~10:40
報告(1)
「災害とメディア」 磯辺 康子 (神戸新聞社 編集局 社会部 デスク・編集委員)
10:40~11:10
報告(2)
「広域避難」 田並 尚恵 (川崎医療福祉大学 准教授)
11:10~11:30 会場からの質疑応答
【午後の部】
13:00~13:30
報告(3)

「避難所」

石川 永子 (千葉大学 コミュニティ再生ケアセンター 特任准教授)
13:30~14:00
報告(4)
「みなし仮設住宅」
鳥井 静夫 (東京都中小企業振興公社 多摩支社 主任)
14:00~14:30
報告(5)
「災害弔慰金」
小口 幸人 (桜丘法律事務所 弁護士)
14:30~14:50 会場からの質疑応答
15:00~15:30
報告(6)
復興基金 義援金」
青田 良介 (兵庫県立大学 政策科学研究所 客員研究員)
15:30~16:00
報告(7)
自治体間連携(対口支援含む)」
阪本 真由美 (名古屋大学 減災連携研究センター 特任准教授)
16:00~16:30
報告(8)
「災害情報」
関谷 直也 (東京大学大学院 情報学環 総合防災情報研究センター 特任准教授)
16:30~16:50 会場からの質疑応答
16:50~17:00
総括
中林 一樹
(日本災害復興学会会長・明治大学 政治経済学研究科 特任教授)

※1月12日(月・祝) 2014年度日本災害復興学会総会(11:30~12:30) を開催します。
(会場:関西学院大学上ケ原キャンパスF号館102教室)

お申し込み方法

参加ご希望の方は、下記参加申し込み用紙に必要事項をご記入の上、下記宛に郵便、FAX又は研究所HPの「お問い合わせ」ページにてお申し込みください。
(入場無料)
参加申し込み用紙

関西学院大学 災害復興制度研究所
〒662-8501 兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155
FAX 0798-54-6997
URL: https://www.kwansei.ac.jp/fukkou

研究所HP「お問い合わせ」ページでのお申し込みの場合、下記項目を明記の上、
「お問い合わせ」ページ にてお申し込みください。

  • ・氏名(フリガナ)
  • ・メールアドレス
  • ・電話番号
  • ・所属
  • ・ご用件
    ① 「2015年復興・減災フォーラム 参加希望」
    ② 参加希望日
    1月10日(土)全国被災地交流集会・1月11日(日)リレートーク
    1月12日(月・祝)ワークショップ・1月12日(月・祝)公開セミナー

※参加証等は発行いたしませんので当日は直接会場までお越しください。
また、参加申し込み用紙に記載された個人情報は本学の関連業務以外に使用することはありません。

チラシ

2015年復興・減災フォーラムチラシ

以上