[ 神学部 ] 奈良 梓さん(キリスト教伝道者コース)

Q1.神学部に入学したきっかけは?
 医師として患者さんやそのご家族と接するなかで、生きることや病気の意味を問われたり、ずっと抱えてこられた罪悪感をお聞きしたりすることがありました。私はどう受け止めたらいいのだろうかといつも悩んできました。スピリチュアルペインといわれるそれらの痛みが差し迫る終末期医療(ホスピスなど)では、キリスト教や仏教などの宗教的ケアが実践されつつあります。しかし、病いと生きる日々にもその痛みは共にある。終末期だけでなくて一般的な医療の場にも、宗教的サポートがあったらいいな、と思いました。患者さんのためだけでなく、医療者のためにもです。その実現のためには、まずは自分がキリスト教を理解せねば!と思い、神学部に飛び込んでしまいました。

Q2.現在神学部で興味を持って学んでいることは?
 実践神学のゼミで「病と生きる日常生活におけるスピリチュアルケアー医療現場とキリスト教的ケアの協働の視点からー」をテーマに研究をしています。関学神学部の先輩には病院チャプレンをはじめ、医療・福祉の現場で活躍されている方が多くおられて、直接お話が聞ける授業や講演があることがとても嬉しいです。そしてこうした実践を研究するためには、キリスト教や宗教というもの自体の生い立ちや、人間の根っこをもっと知りたいなあとも思います。歴史は今までとても苦手でしたが、愛と個性あふれる神学部の先生方のおかげで、今は興味津々です。入学してとても印象的だったのは、先生方の言葉がとても美しく、わかりやすいことです。在学中に少しでも吸収したいです!


Q3.将来の夢や目標は何ですか?
 総合病院には内科・外科・眼科・精神科…と色々な科がありますが、そこに「スピリチュアルケア科」が並ぶことを妄想しています!「宗教離れ」といわれる現代、私たちが自分のいのちの意味や価値についてじっくりと考える機会は減っています。でも病気になると、自分の生き方や生の時間が輪郭を持ち始めます。それは苦しくもありますが、自分の根源的な、いわば宗教的な扉が開く時、といえるのではないかと思います。開いた扉の先に寛ぐことができる場所・器を用意することが私の夢です。そのためには、「キリスト教・宗教とは何か」を医療者に伝えられるように、そして宗教的な視点をもつ医療者を育成できるように、学びを深めたいと思います。

 

Q4.神学部生、神学部入学を目指している受験生に対してメッセージをお願いします。
 色々なことにチャレンジして、自分の枠をひろげて、引き出しを増やしてほしいなと思います。いくつになってもできることですが、やはり10代・20代の柔軟性は半端ない!「失敗を恐れずに」とよく言われますが、「失敗」から新しい道が開けますし、それが後々役にたちますから、最終的に「失敗」はないんじゃないかなと思います。
 そしてなんといっても、神学部では毎日持たれているチャペルでの礼拝を大事にしてほしいと思います。チャペルでは神学部の先生だけでなく、他学部の先生、学生、学外からも、バラエティーに富んだ方々がお話くださいます。「多様な視点」を知ることで自分の横軸が、そして神と自らの根っこへ向かう縦軸が大きく伸ばされる時間です。ぜひ大切にしてほしいなと思います。

※本ページの内容は2025年6月現在のものです。