[ 神学部 ] 佐々木 愛さん(キリスト教伝道者コース)
キリスト教とはできるだけ距離をとって生きてきたつもりでした。なぜなら私は、両親が教会で福祉活動を実践する一風変わった家庭に生まれ育ち、長い間「普通」であることにあこがれ続けていたからです。端的に言えば、自分の家庭環境が好きになれなかったのです。しかし、大学卒業後に働いていた社会福祉の現場で心境に変化がありました。生活の困難に直面する多くの方々との出会いと別れを通して、人生の意味や尊厳など重い「問い」が私自身に突きつけられたのです。そしてこの「問い」を前にしたとき、キリスト教について学びたいと思っている自分がいることに気づきました。この心境の変化が最も大きな入学の理由です。
Q2.現在神学部で興味を持って学んでいることは?
全ての授業、全ての先生との出会いが良い学びであると思っていますが、特に聖書学とディアコニア・プログラムは自分にとって新鮮で興味深い学びとなっています。それは「批判的な視点」を私に与えてくれるものだからです。こうした学びを通じて、キリスト教、そして自分の信仰の解像度が格段に上がったように思います。
Q3.将来の夢や目標は何ですか?
地域とその中にある教会で用いられる人になりたい、これが一番の願いです。従来の牧師像に満足することなく、この時代、社会、地域のニーズに応答する実践をしていきたいと思っています。より具体的に言えば、牧師として、また福祉の専門職として、老いや障害、疾病、経済状況などによって困難を抱える方々と向き合い、地域での生活を共に模索することが私に与えられた役割だと考えています。
Q4.神学部生、神学部入学を目指している受験生に対してメッセージをお願いします。
大学での学びは「するめ」のようなものだと思います。とても地味で時間のかかるものですが、じわじわと良さが出てくるものではないでしょうか。私自身、卒業してからずっと後に「旨味」が分かった経験があります。こうした長い時間のかかる知的営みは、加速し続ける社会の流れとはかなりの乖離があるかもしれませんが、せっかくの機会なので食わず嫌いをせず、在学生の方も入学を目指している方も、ここ神学部でその美味を一緒に楽しむことができれば嬉しいです。
※本ページの内容は2024年6月現在のものです。