[ 理学部 ]学部長メッセージ

山口 宏 (やまぐち ひろし) 教授
- PROFILE
- 大阪大学大学院理学研究科高分子学専攻博士後期課程修了。理学博士。
- 大阪大学蛋白質研究所助手、関西学院大学理学部化学科専任講師、助教授、理工学部化学科教授を経て、2021年から現職。専門は構造生物学、回折結晶学。
関西学院大学理学部は、1961年に西宮上ヶ原キャンパスに唯一の理系学部として誕生しました。その後、神戸三田キャンパスに移転し、物理学科から数理科学科、化学科から生命科学科が独立し、工学部的学科の増設を伴って理工学部へと改組されました。そして、2021年に再び理学部へと戻り現在に至っています。生命環境学部や工学部が応用志向であるのに対し、理学部は数理科学科、物理宇宙学科、化学科が基礎的な事象を重視し、物事の真理を見極める使命を担っています。
一度、理工学部として存在したことで先生方や学生の間で分野間の交流が非常に盛んになりました。これからの社会は多様性の時代ですので、自分の専門に固執せず、多様な知識を吸収することが重要です。同じキャンパス、同じ建物に方向性の異なる学部の人たちがいることは非常に刺激的で、皆さんにも良い影響を与えるでしょう。
理学とは、理系の基礎を学び、物事の本質を明らかにする学問だと広く理解されています。関西学院大学の理学部は、数学、物理、化学の3つの学科しかない小さな学部ですが、数学は物理、化学を考える上で不可欠であり、物理も化学現象を理解する上で重要です。生命現象も、物理、化学の法則に従って起こります。工学的な研究や開発も、数学、物理、化学の知識がなくては行えません。すなわち、数学、物理、化学の本質の探究は、全ての理系分野の基盤を担っています。
理学部を志す方は、物事の真理を見出したいと感じている人が多いと思います。知識の大海原に出帆し、真実の発見にロマンを感じる探検家です。しかし、理学部の教育は基礎に留まらず、それを応用に発展させるポテンシャルを秘めています。実際、関西学院大学理学部での研究を基に、社会で広く利用されている技術が多数生み出されています。理学部内の研究室も、非常に基礎的な研究から、社会での実装を目指した応用的な研究まで幅広く行われています。このように、理学部では基礎から応用まで幅広い研究が行われ、それを可能にするために基礎を重視した教育が行われています。理学部の学びを通して、社会で活躍する人材に育つことを期待しています。
関西学院のスクールモットーは、“Mastery for Service(奉仕のための練達)”です。また、理学部のモットーは、旧理学部、理工学部時代から一貫して、新約聖書ガラテヤの信徒への手紙第5章13節にある“愛をもって互に仕えなさい”です。学生の皆さんは、勉強する権利と自由を持っていますが、社会から見れば、将来社会で活躍するために勉強する義務があります。学生時代から、自分が勉強する意味が自分のためだけでなく、社会のためでもあると考えることは重要です。大学のモットーと理学部のモットーを合わせて考えると、理学部で学んだことをもとに、社会に大きく貢献する人材として活躍してほしいという理学部の願いが見えてきます。
さあ皆さん、関西学院大学の理学部で、一緒に真理の大海原に挑戦し、楽しみ、大きく飛躍しましょう!