2020年度 新カリキュラム始動

[ 編集者:人間福祉学部・人間福祉研究科 2019年7月9日 更新 ]

 人間福祉学部では2020年度より新しいカリキュラムがはじまります。今回は、新カリキュラムの設計を担った武田丈副学部長(教務担当)に新カリキュラムの特徴や新入生に期待することなどをうかがいました。
 

★新カリキュラムのテーマを教えてください。

武田 丈 副学部長(教務担当)

武田 丈 副学部長(教務担当)

 学部理念の浸透と学際性の拡張です。
 人間福祉学部には学部理念をあらわす「3つのC」というものがあり、「人への思いやり(compassion)」「幅広い視野(comprehensiveness)「高度な問題解決能力(competence)」のことをまとめてそのように呼んでいます。すなわち、人間福祉学部で学ぶみなさんには、どの学科でどんな専門的知識や技能を学ぶにせよ、共通する基盤としてこれら「3つのC」を獲得して社会に出ていってもらいたいと願っています。そのためには、機械的に科目を履修するのではなく、どういった能力を身につけるためにその科目を学ぶのか、目的意識を持ちながら4年間を過ごしてもらいたいと考えています。そこで、新カリキュラムでは、3学科に共通する専門科目を設けることにしました。本学部で開講しているどの科目も「3つのC」を身につける上で不可欠ですが、その中でも土台となる科目を「3つのC」に紐づく3学科共通専門科目として開講します。
 また、学生がより学際的に学べる仕組みにしたこともポイントです。現在、日本では少子高齢化や自然災害への対応、働き方に関する諸問題などの課題が山積し、国際的には地球温暖化、食糧危機、地域紛争、難民問題などが発生しています。これらの課題に立ち向かうには従来の概念だけではなく、新たな糸口を見出す必要があります。そのためには、一つの分野を深化していくことはもちろん重要ですが、同時に他の分野の視点・知識を積極的に吸収することも肝要です。新カリキュラムでは、学科横断型の実践教育やゼミ履修、そして上述の3学科共通専門科目をとおして学際性を高め、新たな時代の課題にソリューションを提案できる人材を育成していきます。

★「3学科共通専門科目」、「学科横断型実践教育」、「学科を越えたゼミ履修」がキーワードとなりそうですが、具体的にはどういった内容なのでしょうか。

<3学科共通専門科目>

図1 3学科共通専門科目

図1 3学科共通専門科目

 3学科共通専門科目の科目構成は図1の通りです。「3つのC」を身に着ける上で礎となる内容を含み、またどの分野を専門に学ぶにしても問題提起や考察を深める上で新たな視点をもたらしてくれる科目ばかりですので、学科を問わず積極的に履修してほしいと思います。
 中でも「人間多様性論」は非常に特徴的な科目です。人間福祉学部とは、文字通り、「人間の福祉」すなわち、「幸せ」を追求する学部ですが、その出発点として、いわゆる「マイノリティ」に焦点をあてる必要があります。障害者、外国人、LGBT・・・。みなさんはこういったワードを聞いて何を考えるでしょうか。「人間多様性論」では、社会の中で生まれる差別、抑圧、多文化主義などについて知識を深めながら、社会の中の多様性を理解し、人間福祉の実践のためには、自分自身の価値観だけでは不十分であることを認識していきます。授業では、企業や自治体、教育機関における心のバリアフリーのコンサルティングを実際に手がける企業の方を講師として招き、概念的内容だけでなく実践的知識や現場の視点も盛り込んだ構成とする予定です。

LGBT対応マナー研修修了証 ユニバーサルマナー検定認定証

LGBT対応マナー研修修了証 ユニバーサルマナー検定認定証

 また、「人間多様性論」の単位を修得した者のうち、希望者は、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会認定の「ユニバーサルマナー検定2級・3級」の認定証、および「LGBT対応マナー研修」の修了証を取得することができます。外国人の受け入れやLGBTの可視化により、現代社会では多様性の幅が広がってきており、多くの企業が多様性(ダイバーシティ)に対する取り組みを積極的に行うようになってきています。企業、NPO、国際機関、福祉機関などでこれから強く求められる、多様性を尊重し、活用する知識やスキルを、本授業で身に着けてください。

人間多様性論 実技風景イメージ

人間多様性論 実技風景イメージ

<学科横断型実践教育>

実践教育科目 フィールドスタディ風景イメージ

実践教育科目 フィールドスタディ風景イメージ

 人間福祉学部では設立当初から実践教育を重視してきましたが、新カリキュラムではさらにその実践教育を充実させました。従来の実践教育科目は、学科ごとに開講しており、自らが所属する学科で展開されるフィールドワークやインターンシップにだけ参加することができるという、いわゆる縦割りの構造となっていました。もちろん、自らの専門分野を掘り下げていくという点ではそれで充分なのですが、上述したように、予測不能な現代においては新たな視点や発想力なくしては課題解決が困難となってきました。そこで、新カリキュラムでは、これまでの自らの専門分野を深化させる実践教育と並行して、他学科、他分野のフィールドでも経験を積むことができる実践教育科目「人間福祉国内フィールドスタディⅠ~Ⅲ」「人間福祉海外フィールドスタディⅠ~Ⅲ」「社会起業プラクティス演習」「社会起業プラクティス」を開設しました。

 例えば、社会福祉学科に所属し、児童福祉分野を中心に学んでいる学生が将来的に子ども食堂の運営を考えたとき、社会起業学科で展開されているソーシャルビジネスの分野でフィールドスタディを行うことで、組織の運営や経営の視点に触れる、あるいは、人間科学科に所属し、健康科学の分野を中心に学んでいる学生が将来的にスポーツによる社会貢献を考えたとき、社会起業学科で展開されているスポーツマネジメントの分野でフィールドスタディを行うことで、スポーツによるまちおこしの手法を学ぶといったことが期待されます。現場で実習を行っておわりではなく、事前計画の立案、事後学習による省察を行うことにより、単なる体験ではなく自らの経験として蓄積させます。

図2 人間福祉国内・海外フィールドスタディ 履修イメージ

図2 人間福祉国内・海外フィールドスタディ 履修イメージ

<学科を越えたゼミ履修>

 ここまで学際性の拡張や他分野の視点の獲得といった話をしてきましたが、ゼミの履修についても同様の狙いがあります。まず、前提として人間福祉学部では、3年次に「研究演習Ⅰ」、4年次に「研究演習Ⅱ」という演習系の必修授業を3、4年通じて同一教員のもとで履修することになっており、これらの授業のことをいわゆるゼミと呼んでいます。学生は、ゼミに所属しながら大学での学びの集大成として卒業研究を仕上げます。従来のゼミは、自らの所属学科の教員が開講するゼミから選択し、同一学科の学生同士でクラスを形成していましたが、新カリキュラムでは、学科の壁を越えて選択することができるゼミ(学科横断型ゼミ)を開講することにしました。学科横断型ゼミ(※)では、3学科の学生が混合でクラスを形成し、2年間、学んでいくことになります。各学科で学んだそれぞれの分野の知識や、学科横断型実践教育科目で得た新たな視点を各自が提供しながらゼミを運営していきます。異なる前提知識、バックグラウンドを持った者同士が様々なテーマに関して議論を重ね、発表し、ともに学び合っていく中で、新たな疑問を投げかけ、物事を多角的に分析する能力を養います。
 

※すべてのゼミが学科横断型ゼミとして開講される予定ではありません。

 このように人間福祉学部では時代の潮流を取り入れたカリキュラムを提供していきます。ぜひ私たちとともに人間の福祉(幸せ)について一緒に考えていきましょう。