植物共生工学

武田 直也 (たけだ なおや) 准教授

植物共生工学研究室

研究分野:
植物微生物間相互作用、共生、植物分子・生理学
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異種生物間の相互作用によってつくりだされる生物機能

 生物は自然環境において単独で存在することはなく、さまざまな同種・異種個体と共存しています。ここで異なる個体が同一空間に存在すれば、影響を与え合うことで相互に何らかの関係性が生じます。私たちの研究室では、この生物間での相互作用「共生」をテーマとした研究を行っています。共生という言葉からは互いに良い影響を与える相利共生を思い浮かべますが、一方のみが益を得る片利共生や寄生も共生の1つのあり方であり、さらにそれらの損益の関係性は生物の状態や外部環境によって変化することもあります。このように生命はその発生から数億年の間に、生物自体だけでなく生物間相互作用も多様に進化させてきました。私たちはこの異種生物間の相互作用として、植物と微生物が作り出した高度な共生メカニズムの解明や利用に向けた研究を行っています。

生物個体だけでなく、生物間にある関係性を観る

 私たちの研究の特徴は、1つの生物種を研究対象とするのではなく、2種以上の生物を対象とする点です。また、それぞれの生物内の現象だけでなく相互作用の結果として生まれる関係性も解析対象としています。共生菌である菌根菌や根粒菌は、宿主植物の根に共生器官を形成し、リンやチッソなどの植物に必須の栄養素を与える代わりに、光合成産物などを得ています。これらの菌根共生や根粒共生を共生研究のモデル系として、異種生物間の相互作用によって作り出される分子メカニズムや共生栄養供給能の解明に取り組んでいます。この研究では、分子生物学や遺伝学的な研究手法から、イメージングやインフォマティクスを用いた新たな解析手法も取り入れ、理学的な基礎研究から、実用植物を用いた農学・工学的利用を目指す応用研究まで、幅広い興味のもと研究活動を行っています。

研究を通して相利的な関係を築き、社会に貢献する術を学ぶ

 生物間相互作用の研究からは、良好な関係性を維持するためには双方の絶え間ない努力と巧みなシステムが必要となることがわかります。私たちの研究室では、この空間を共有する教員と学生がコミュニケーションによってより良い相互作用を構築し、互いに高め合うことで新たな知識や技術を創造することを目指しています。また、ここで得られた研究成果は研究室だけに留まらず、国際的な科学コミュニティーや社会へも繋がっていきます。学生と社会人、大学と企業との境界に位置する研究室では、研究を通して人材の育成に取り組み、社会へ旅立っていく力を身につける橋渡しとしての機能も担っていきます。

研究室の風景

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