ゲノム情報科学研究室

藤 博幸 (とう ひろゆき) 教授

ゲノム情報科学研究室

研究分野:
進化、情報、コンピュータ
研究室サイト

進化が解き明かす生命の謎

コンピュータを用いた分子進化解析
地球上には形態や生活史の異なる様々な生物がいます。その違いは、その生物の持っている遺伝情報によって決定されます。遺伝情報とは、具体的には、そのゲノムを構成している塩基配列の情報です。生物は、その進化の過程で塩基配列が配列が変化していきます。また、変化した領域がタンパク質をコードしている遺伝子領域であった場合、塩基配列の変化に伴ってタンパク質のアミノ酸配列も変化していきます。このような進化の過程における分子レベルの変化のことを「分子進化」と呼びます。進化の過程で変化してきたこのような分子のデータを比較することで、分子のどの部分が生物にとって重要なのか、あるいは分子のどのような変化が生物の形質の違いをもたらしたのかなど、分子の機能情報を知ることができます。このような解析のためには、膨大な生体分子データを扱わねばならず、それは人間が手作業でできるものではありません。私達はコンピュータを使って膨大な分子データを解析し、分子レベルでの進化、またそれを通じての機能解析を行っています。

私たちはこんな研究をしています

私達の研究室では、コンピュータを使って様々な分子データの解析を行っています。

プリオン様ドメインの進化解析
プリオン様ドメインを持つタンパク質はALSなどの神経変性疾患の原因タンパク質として研究されてきましたが、動物だけなく、植物、菌類、原核生物でも発見されてきており、近年は液-液相分離という機構やプリオンスウィッチ機構を通じて様々な生命現象に関与することが知られてきています。私達は。ゲノム情報が利用可能な様々な生物の情報解析により、プリオン様ドメインを持つタンパク質がどのように獲得されてきたか、またそれが生物の新規機能の獲得とどのように関係しているのかを研究しています。

Linked Open Dataを利用したアラインメントビューアの開発
ウェブ上で公開されているデータをコンピュータで処理しやすくリンクさせる技術をLinked Open Dataと呼んでいます。生物の様々なデータベースもRDFと呼ばれるフォーマットで表すことでLinked Open Dataとして利用できるようになってきています。系統樹構築などの生物進化の解析では、遺伝子の塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列を並置して比較するアラインメントという処理が行われますが、その際にアラインメントに使われる個々の配列がどのような生物に由来し、どのような性質を持っているのかを知る必要があります。しかし、大量の配列を扱う際には、そのようなデータの収集、可視化、解析が難しくなります。私達は、Linked Open Dataとして利用できる様々な情報を用いて、アラインメントに対して、それらの情報を可視化したり解析することを通じて情報解析を助けるためのアラインメントビューアを開発しています。 その他、マイクロバイオームの多次元主成分解析やGPCRの相互作用の情報解析など、様々な生体分子の情報解析を行っています。

研究室の雰囲気

私達の研究室は、実験を行わずコンピュータだけを使って研究しています。そのため、4年生以上の学生には各自デスクトップPC1台とモバイルPC1台を与えています。学生は、学部の講義でR言語というプログラミング言語を勉強していますが、研究室配属後にはJavaなど別の言語も勉強してもらっています。