海洋生命理工学(松田研究室)

嶋川 銀河 (しまかわ ぎんが) 助教

研究分野:
植物生理学、光合成、サンゴ礁
研究室サイト

研究テーマ

自然界に生息する多種多様な生き物たちは、それぞれどんな“生きざま”を見せてくれるのか?そんな好奇心を原動力にして日々研究に没頭しています。

まだまだ謎の多い光合成の世界
光合成というのは植物や藻が太陽のエネルギーを使って二酸化炭素から有用な有機物(砂糖など)を作る反応であり、そのおかげで地球は多くの生命を維持することができるわけです。また光合成は反応のゴミとして酸素を放出するため、この点でも私たちにとっては欠かせない反応と言えます。

光合成分野はこれまで数百年間にわたって研究が続いており、多くのノーベル賞受賞者を輩出してきましたが、それでも未だに多くの謎を残しています。中でも一番ブラックボックスなのが、その「制御メカニズム」についてです。植物や藻は各々がおかれた環境に合わせて最も効率的かつ安全に光合成を行っていますが、それが分子レベルでどうやって制御されているのか分かっていないのです。そしてこれを明らかにするためには、光合成を行う生き物たちの遺伝子やタンパク質、代謝の基盤を理解した上で、実際に”生きている”植物や藻を非破壊的に測定することが必要になります。このような背景から私は、生理学的解析を主軸にした多くの研究ツールを駆使して実験に取り組んでいます。  

実際の研究室では植物や藻を栽培・培養し、非破壊的な実験機器を用いて光合成の活性などを測定します。自然界とは異なり、実験室では人工的に環境を変化させて生理応答をモニターできるため、個々の環境変化(光・温度・二酸化炭素濃度など)に対して明確な筋道のもとに実験データを解釈できます。また自身の研究モットーとして「生き物の多様性や進化に着目することで、彼らの“生きざま”が見えてくる」と信じており、固定観念に囚われず多種多様な実験材料を使っております。最近ではサンゴという身体の中に微細藻類(褐虫藻)を飼っている動物にも注目しており、動物と藻の共生関係において光合成の反応がどのようにコントロールされているのか、まだまだ興味は尽きません。

光合成の制御メカニズムを知ることは、農作物の収量増加、バイオ燃料の生産性向上、環境のモニタリングや保全に繋がると期待されます。上では研究に没頭する原動力が好奇心であると書きましたが、一方で自身の研究がどのように社会に役立つのか、そのアウトプットを常々考えて研究に取り組んでいます。

少し内容が難しいかもしれませんが、昔行った研究について数年前に執筆した光合成学会の記事「植物が安心して光合成できるワケ」( https://photosyn.jp/journal/kaiho78.pdf )に詳しく載せています。また研究発表の成果などに係る最新情報は個人ホームページ( https://sites.google.com/view/ginga-shimakawa )上で随時更新しております。