2017.10.25.
第75回 元 アジア開発銀行上級資源エコノミスト 近藤 敏夫 氏が講演

近藤 敏夫 氏

近藤 敏夫 氏

第75回国際学部連続講演会は、元アジア開発銀行上級資源エコノミスト、近藤敏夫氏を講師としてお迎えして、2017年10月25日(水)に図書館ホールにて開催しました。「“究極の国際就職”を目標にして職業人生設計を」と題して開催した本講演会は、講師と参加学生が相互に質問を投げかけあうという、国際就職を目指す学生にはまたとない機会となり、午後3時から午後4時半の終演時間間際まで活発に質問が交わされ、国際公務員への関心の高さがうかがえました。(司会:国際学部 丸楠 恭一教授)

まず、近藤氏は国際公務員を目指したきっかけとして、17歳当時に、國弘正雄氏(元参議院議員、アポロ11号の月面着陸を伝えるテレビ中継番組における同時通訳者)に国際公務員になることを勧められた出会いについてあげられました。国際機関から帰ってきたご自身の今の責任として近藤氏は、国際公務員という職業を日本人に紹介するということ、国際公務員になるためには、複数の専門的視野から多角的に物事を見る目(複眼点)と、国際的な説得力が必要であるということを強調されました。また、国際機関は日本人が生来持つ気質:思慮深く(considerate)、頼りになり(reliable)、従順で(obedient)、礼儀正しい(polite)を大変評価しており、“crop”と名付け自信を持つべきと激励されました。宗教的中立の立場から、日本人としての活躍の場は国際機関では大変多く、この、”crop”精神で、2段階ほど自己表現力を上げた人材が最も望まれる人材ではないかと述べられました。また、明治維新以降福沢諭吉が主張した”脱亜入欧“ではなく、近年は、もっとアジアに目を向けて、”再入亜接欧米“、アジアに軸を置き、欧米ともよい関係を維持していくという意味を込めて、この言葉を行動指針の基礎にする提案をされました。日本がこれまで乗り越えてきた、資源・環境・教育・防災問題の解決などは、特に日本人の得意分野として専門的視野に入れていくことについてもふれられました。

国際公務員になるための具体的なアドバイスとして、まず、大学卒業後にすぐには就職できないこと、大学卒業後には一般企業、または公的機関での就業経験、さらに、大学院での修士課程修了は必至条件とのことから、国際公務員への就職は35歳を目標に定めることと定義がありました。先に触れられた、複数の専門的視野から多角的に物事を見る目(複眼点)と、国際的な説得力の構築の場として、英語圏の大学院への進学も推奨されました。大学院での専攻は、大学で学んだ専門とは違うもの、または同じ専門でも違う角度から学ぶために、異なった研究科への進学への可能性の示唆や、理想的な形として、就職した企業や、公的機関からの派遣で大学院に進学する道の提案もありました。
参加の学生は、近藤氏のエピソード満載の講演に、笑い声あり、感嘆の声あり、熱心に聞き入っていただけではなく、後半には質疑応答の時間もお取りいただき、活発に質問を投げかけていました。

【ポスター】国際学部連続講演会2017102_元アジア開発銀行 上級プロジェクトエコノミスト PDFファイル   [ 241.10KB ]PDFリンク

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