国際学部 連続講演会

[ 編集者:国際学部・国際学研究科       2017年11月28日   更新  ]

関西学院大学国際学部は「国際事情に関する課題の理解と分析」を教育・研究上の目的とし、その目的の達成を通じて、「国際性」と「人間性」を備えた世界市民として、国際的なビジネス・市民社会で活躍できる人材を養成することを謳って2010年4月に開設されました。国際的視野を育成するための一助として各界の第一線で活躍されている方々を講師にお招きし、連続講演会を開催しています。

連続講演会の概要は以下のとおりです。国際学部の学生に限らず、一般の方々の参加も可能です。参加無料、事前予約は不要です。

第76回 元 ドイツ大統領 クリスティアン・ヴルフ氏が講演

2017年11月20日

当日の様子は、以下のリンクをご覧ください。
https://www.kwansei.ac.jp/news/2017/news_20171122_018980.html

第75回 元 アジア開発銀行上級資源エコノミスト 近藤 敏夫 氏が講演

2017年10月25日

近藤 敏夫 氏

近藤 敏夫 氏

第75回国際学部連続講演会は、元アジア開発銀行上級資源エコノミスト、近藤敏夫氏を講師としてお迎えして、2017年10月25日(水)に図書館ホールにて開催しました。「“究極の国際就職”を目標にして職業人生設計を」と題して開催した本講演会は、講師と参加学生が相互に質問を投げかけあうという、国際就職を目指す学生にはまたとない機会となり、午後3時から午後4時半の終演時間間際まで活発に質問が交わされ、国際公務員への関心の高さがうかがえました。(司会:国際学部 丸楠 恭一教授)

まず、近藤氏は国際公務員を目指したきっかけとして、17歳当時に、國弘正雄氏(元参議院議員、アポロ11号の月面着陸を伝えるテレビ中継番組における同時通訳者)に国際公務員になることを勧められた出会いについてあげられました。国際機関から帰ってきたご自身の今の責任として近藤氏は、国際公務員という職業を日本人に紹介するということ、国際公務員になるためには、複数の専門的視野から多角的に物事を見る目(複眼点)と、国際的な説得力が必要であるということを強調されました。また、国際機関は日本人が生来持つ気質:思慮深く(considerate)、頼りになり(reliable)、従順で(obedient)、礼儀正しい(polite)を大変評価しており、“crop”と名付け自信を持つべきと激励されました。宗教的中立の立場から、日本人としての活躍の場は国際機関では大変多く、この、”crop”精神で、2段階ほど自己表現力を上げた人材が最も望まれる人材ではないかと述べられました。また、明治維新以降福沢諭吉が主張した”脱亜入欧“ではなく、近年は、もっとアジアに目を向けて、”再入亜接欧米“、アジアに軸を置き、欧米ともよい関係を維持していくという意味を込めて、この言葉を行動指針の基礎にする提案をされました。日本がこれまで乗り越えてきた、資源・環境・教育・防災問題の解決などは、特に日本人の得意分野として専門的視野に入れていくことについてもふれられました。

国際公務員になるための具体的なアドバイスとして、まず、大学卒業後にすぐには就職できないこと、大学卒業後には一般企業、または公的機関での就業経験、さらに、大学院での修士課程修了は必至条件とのことから、国際公務員への就職は35歳を目標に定めることと定義がありました。先に触れられた、複数の専門的視野から多角的に物事を見る目(複眼点)と、国際的な説得力の構築の場として、英語圏の大学院への進学も推奨されました。大学院での専攻は、大学で学んだ専門とは違うもの、または同じ専門でも違う角度から学ぶために、異なった研究科への進学への可能性の示唆や、理想的な形として、就職した企業や、公的機関からの派遣で大学院に進学する道の提案もありました。
参加の学生は、近藤氏のエピソード満載の講演に、笑い声あり、感嘆の声あり、熱心に聞き入っていただけではなく、後半には質疑応答の時間もお取りいただき、活発に質問を投げかけていました。

第74回 元 在アメリカ特命全権大使 加藤 良三 氏が講演

2017年6月1日

加藤 良三 氏

加藤 良三 氏

第74回国際学部連続講演会は、元 在アメリカ特命全権大使の加藤良三氏を講師としてお迎えして、2017年6月1日(木)に関西学院会館レセプションホールにて開催しました。「トランプ政権と日本の将来」と題して、関西学院大学産業研究所の協力により開催した本講演会への参加者は学生・一般の方を含めて約300名に上り、このテーマへの関心の高さがうかがえました。(司会:国際学部 渥美裕之教授)

まず、先の大統領選挙について、クリントン氏優勢の世論を覆したトランプ氏当選を、「世論」の信頼性を考えなおす契機と捉えたことや、選挙戦中のトランプ氏は民衆が作り上げた「ホログラム」(ある種の虚像)だったため、失言や反対派の活動による影響は少なかったが、大統領就任後は「実体」とならざるを得ず、何らかの形でダメージを負う可能性があるとの見解を述べられました。続いて、トランプ氏が尊敬する4人の大統領(リンカーン、アイゼンハワー、ニクソン、レーガン)の成果や特徴とトランプ氏との共通点・相違点を、御自身が直接会われたニクソン大統領についての印象などを交えながら説明されました。

次に、日米関係について「同盟は運命共同体ではない」というド・ゴール元フランス大統領の言葉を引き合いに、同盟を結ぶとは、冷徹な計算に基づいて自国の国益を最大にできるパートナーを選ぶことであり、同盟維持には双方の努力が必要であることを説かれました。

最後に、日本の将来について、日本は軍事面での「グローバル・パワー」ではないが、人道的援助などを通じて世界に貢献する「グローバル・ネーション」として活躍できるという考えを示され、御自身が永年お好きな野球に喩えてお話を進められました。自国の環境には満足しているが非常時に身を挺して国を守る気はない日本人の傾向に警鐘を鳴らし、今後は観客席から眺めるだけの存在ではなく、選手としてフィールドに出る必要があり、さらには練達の二塁手のように多様な能力を身につけて国際社会を率いていく存在になっていかねばならない、と学生達を鼓舞されました。

質疑応答では多くの手が挙がり、関西学院の大学生として人間の底力を作るリベラルアーツを身に付けるにはどうすればよいか、トランプ氏が率いるアメリカの将来はどうなると予想されるか、傍観者ではなくプレーヤーになるために自分達が今できることは何か、といった質問がありました。加藤氏は、質問への回答を通じて、リベラルアーツは大学での勉強だけを指すのではなく、人間関係や留学などから幅広く学ぶことができ、その中から自分が一番興味関心を持った分野を極めていけば、それが自分の武器になることを教示されました。学生達は真剣な表情で耳を傾け、質疑応答終了後も直接お話をしたい学生が加藤氏をとりまくほどの熱心さでした。