2017.06.15.
元 在アメリカ特命全権大使 加藤 良三 氏が講演

加藤 良三 氏

加藤 良三 氏

第74回国際学部連続講演会は、元 在アメリカ特命全権大使の加藤良三氏を講師としてお迎えして、2017年6月1日(木)に関西学院会館レセプションホールにて開催しました。「トランプ政権と日本の将来」と題して、関西学院大学産業研究所の協力により開催した本講演会への参加者は学生・一般の方を含めて約300名に上り、このテーマへの関心の高さがうかがえました。(司会:国際学部 渥美裕之教授)

まず、先の大統領選挙について、クリントン氏優勢の世論を覆したトランプ氏当選を、「世論」の信頼性を考えなおす契機と捉えたことや、選挙戦中のトランプ氏は民衆が作り上げた「ホログラム」(ある種の虚像)だったため、失言や反対派の活動による影響は少なかったが、大統領就任後は「実体」とならざるを得ず、何らかの形でダメージを負う可能性があるとの見解を述べられました。続いて、トランプ氏が尊敬する4人の大統領(リンカーン、アイゼンハワー、ニクソン、レーガン)の成果や特徴とトランプ氏との共通点・相違点を、御自身が直接会われたニクソン大統領についての印象などを交えながら説明されました。

次に、日米関係について「同盟は運命共同体ではない」というド・ゴール元フランス大統領の言葉を引き合いに、同盟を結ぶとは、冷徹な計算に基づいて自国の国益を最大にできるパートナーを選ぶことであり、同盟維持には双方の努力が必要であることを説かれました。

最後に、日本の将来について、日本は軍事面での「グローバル・パワー」ではないが、人道的援助などを通じて世界に貢献する「グローバル・ネーション」として活躍できるという考えを示され、御自身が永年お好きな野球に喩えてお話を進められました。自国の環境には満足しているが非常時に身を挺して国を守る気はない日本人の傾向に警鐘を鳴らし、今後は観客席から眺めるだけの存在ではなく、選手としてフィールドに出る必要があり、さらには練達の二塁手のように多様な能力を身につけて国際社会を率いていく存在になっていかねばならない、と学生達を鼓舞されました。

質疑応答では多くの手が挙がり、関西学院の大学生として人間の底力を作るリベラルアーツを身に付けるにはどうすればよいか、トランプ氏が率いるアメリカの将来はどうなると予想されるか、傍観者ではなくプレーヤーになるために自分達が今できることは何か、といった質問がありました。加藤氏は、質問への回答を通じて、リベラルアーツは大学での勉強だけを指すのではなく、人間関係や留学などから幅広く学ぶことができ、その中から自分が一番興味関心を持った分野を極めていけば、それが自分の武器になることを教示されました。学生達は真剣な表情で耳を傾け、質疑応答終了後も直接お話をしたい学生が加藤氏をとりまくほどの熱心さでした。

【ポスター】国際学部連続講演会20170601_元在アメリカ特命全権大使 PDFファイル   [ 241.39KB ]PDFリンク

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