[ 人間福祉学部 ]李 善惠(り そんへ)教授

■研究分野のキーワード
 社会福祉の歴史と思想、ソーシャルワーク、キリスト教社会福祉

研究内容

 私が近代の社会福祉の歴史について興味をもち始めたのは、フロンティアとして日本社会福祉の土台を築いていた先駆者の大半がキリスト者(Christian)であったことを知ったのがきっかけです。制度化されていなかった時代に、彼らの活動は当時の社会問題に対する責任を感じ、パイオニアのように新しい道を広げ、様々な分野で活躍し、今日の社会福祉の思想や実践に大きな影響を及ぼしました。特に、明治期から昭和期まで貧民救済事業から協働組合運動及び平和運動まで幅広く活動した賀川豊彦の業績を追究するのが、私の研究テーマです。ただ、彼の思想や実践が現代においてどのような意味をもつのでしょう。今日においても対人援助専門職であるソーシャルワーカーに求められるのは、実践の根拠となる価値に基づいたソーシャルワークの専門性、社会に対する問題意識、積極的なアウトリーチ、人々に対する思いやりなどです。様々な分野で社会福祉を担うソーシャルワーカーを育成する社会福祉実践教育のあり方を問い直すため、賀川豊彦の思想や実践の原動力を探ることとともに社会環境の変化にどのように対応してきたのかを様々な視点を取り入れて研究を行なっています。