[ 人間福祉学部 ]社会起業学科

グローバルに、ローカルに、社会の課題を解決する社会起業能力を持った人材を育成

国際化・多様化が進む現代社会の中で、「人間の福祉」やより良い社会の実現に貢献する事業や政策を企画・立案し、実行できる「社会起業能力」の涵養をめざしています。実践的なカリキュラムによって、社会や人々の生活を総合的にとらえる視点や、地域社会の問題を他者と連帯して解決できる自治能力、グローバル水準の思考力・実践力を修得。多元的・国際的に行動する「市民力」とヒューマンサービスに携わる優れた社会起業能力を持った人材を育成します。
 

学びの特色

❶ 国内外をフィールドに活躍する教員がきめ細かく指導

多文化共生のために尽力する研究者や、途上国での支援活動経験がある実践家など、多彩な経歴を持つ教員が、自らの豊富な経験に基づいたきめ細かな指導を行います。

❷ グローバルな視点で社会起業を学ぶ「社会起業フィールドワーク(海外)

海外の社会問題や多様な国際協力の在り方を理解する「社会起業フィールドワーク(海外)」を開講。途上国などへ10日間のフィールドワークを実施し、グローバルな視点と行動力を身につけます。
※新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航が困難な場合は、オンラインで現地フィールドワークを実施したり、現地の人たちと協働する授業を実施します。

❸ 自ら現場へ足を運ぶフィールドワークを全員が体験

多文化共生、貧困、障害、差別、地域格差など、国内のさまざまな社会的課題を抱える現場を訪問し、アンケートやインタビューを行う「社会起業フィールドワーク(国内)」を必修科目としています。

❹ 3カ月の「社会起業英語中期留学」で国際社会で必要な能力を磨く

社会起業学科生の希望者を対象に、カナダのクイーンズ大学での留学を、学科独自のプログラムとして実施。グローバル・ビジネスに必要な英語力や異文化を受け入れる柔軟性を養います。
※新型コロナウイルス感染症の影響で中止となる場合があります。

❺ 学科入学定員が70名から90名に 一般入試募集定員が約1.5倍に増加

社会起業への社会的な関心の高まりや、受験生のニーズに応えるため、2021年度より入学定員を増やしています。一般入試の募集定員も増加し、チャンスが拡がっています。

授業紹介

多文化共生論Ⅰ

社会的に不利なコミュニティを理解し、社会起業のための視点や価値観を考える。

多文化共生論Ⅰ

この授業では、社会起業のための基本的な視点や価値観を考えます。また、実際に世界各地で社会起業を行っている人をゲストスピーカーに招いて話を聞き、早い段階から社会起業の具体的なイメージを持ち、今後の学びに繋げていきます。

社会問題演習

様々な社会問題を自分の頭で理解し語る。

社会問題演習

個人的な理由で社会に発生する不平等や差別が社会構造から生まれる結果として存在することを理解し、社会的な視点を身につけることが目標となる。可能なかぎり自分の生活と結びつけて自分の言葉で社会問題を語れるように学習します。

社会起業コミュニケーション演習【2021年度新規開講】

自分も他者も尊重し、よりよい対人関係を築く。

他者との関係を築く上で欠かすことができないコミュニケーションの基本を学び、自分を尊重し、他者を尊重するコミュニケーション方法を身につけます。

「社会起業コミュニケーション演習」を詳しく見る

毎回の授業では、アイスブレイクをした後に、各回のテーマに沿ったワークに取り組みます。例えば、他己紹介ワーク、対人関係地図の作成、絵本の読み聞かせ、面接ロールプレイ等。ワークを通して感じたことは、シートに書き込み、履修者で共有します。

7月上旬に開講された授業でも、アイスブレイクから始まりました。まずは、教室内で大きな円を作り外側を向きます。1から順に番号を言っていきますが、与えられる機会は一人1回、1つの数字のみです。発言が重なったり、沈黙が続けば、そこで終了。お互いの顔も見えない状況では、なかなか続きません。今度は、内側を向きお互いの顔を見ながらの挑戦。それでも、発言が重なりどうしても続きません。担当教員の澤田准教授より、どうすれば続くかアイデアを出し合うよう声がかかると、履修者から次々に「発言したら手をあげる」「次の発言者へアイコンタクトをする」「発言したらその場に腰をおろす」等提案がありました。仕切り直して挑戦すると…、5回目で成功。自然と拍手が沸き起こりました。

いよいよ、当日のワーク、ブラインドウォークへ。一人に1枚バンダナが配付され、二人組になります。片方がバンダナで目隠しをして、もう片方が声を出して安全に誘導します。ルートは、授業が行われたG号館3階から階段を通っていったん屋外へ出て、再び階段で教室まで戻ってくるという難コース。教室に戻ってきたら、役割を交代し、同様に行います。声をかけながらゆっくりと歩を進めていきますが、階段の昇り降りはどの組も苦戦の連続。無事に教室まで戻ったら、ほっとした表情に変わっていたのが印象的でした。各自で感想シートへの記入が終わると、「慣れている学内だったので想像で歩けた部分もあるが、これが初めての場所ならもっと大変だったと思う」「今回は気心の知れた友達がサポートしてくれたが、初対面の方だったらと思うと不安で一杯だっただろう。相手の立場に立って、伝える言葉の一つひとつが大切だと痛切に感じた。」「自動ドアが閉まらないようにしてくれたり、階段の手すりや進路を塞ぐものの情報を伝えてくれたりしてうれしかった」等、体験を通して得られた気づきを共有しました。

宇津原龍平さん

履修者の宇津原龍平さん(社会起業学科3年)は、新型コロナウイルス感染対策で昨年はオンラインの授業が続いた中、対面の演習中心で行われるのに魅力を感じ履修したとのこと。授業の始めに、澤田准教授から「話上手な人は聞き上手な人」と教わり、自分自身も相談される人になりたいと思い、ワークに取り組んできました。あいづちや表情、聞き方などのノンバーバル・コミュニケーションの大切さを知り、早速、出身高校でのクラブ活動の指導の際に活かしているそうです。

宮内萌々子さん

これまでにコミュニケーションスキルについて学ぶ機会がなかったという宮内萌々子さん(社会起業学科3年)は、社会起業学科にはSDGsやジェンダーについて熱く語る仲間が多いので、この科目の履修を楽しみにしていました。絵本を読み聞かせるワークでは、各自が好きな絵本を持ち寄り、グループで読み聞かせを行いました。同じ絵本でも、好きだと感じる人もいれば、興味が沸かない人もいて、感受性によりそれぞれ受け止め方が異なることを知りました。人との関わりは今後の学生生活でも、卒業して社会人になっても、この先ずっと続きます。ここで学んだことは、今後の対人関係構築に役立てていきたいと力強く語ってくれました。

この授業はワークを行う上で参加者がお互いに安心して話し合える場をつくることが重要で、アイスブレイクをはじめ、学生がいつも協力的にワークに取り組んでくれたことや、一緒に楽しみながら学びの空間を作ってくれたことが印象的だったと話す、担当の澤田准教授。今後のインターンシップや社会において、多様な人びとと出会い、信頼関係を築く上で、ここでの学びを活かしてもらいたいと期待しているそうです。

※学生の学年表記は取材当時のものです。
※取材・撮影は新型コロナウイルス感染対策を行いながら実施しています。

卒業生の主な就職先

社会起業学科 紹介動画

人間福祉学部・研究科開設10周年を記念して、2018年5月に制作した映像資料です。学生による各学科での学びの特長の紹介や卒業生へのインタビューを通して、人間福祉学部・研究科の魅力を広く発信することを目的としています。