学部長からのメッセージ

[ 編集者:人間福祉学部・人間福祉研究科       2016年12月6日   更新  ]

人間福祉学部長 大和 三重

    人間福祉学部長 大和 三重

 皆さんは日々の生活の中で何を目標として暮らしていますか。

 NHKが高校生を対象に行った調査(2013)によると、「みんなと力を合わせて、世の中をよくする」というような社会に対する目標よりも個人の生活に対する目標、例えば「身近な人たちと、なごやかな毎日を送る」「その日その日を、自由に楽しく過ごす」といった項目を選択する人が多く、社会に対する関心よりも身近な私生活への関心が高いことがわかります。これは当然と言えば当然のことかもしれません。
 しかし、自分たちが置かれている環境としての社会に目をやることなく、自分の生活が豊かで、自由に楽しく過ごせれば良いとだけ願うことは、自分さえ良ければそれで良いという自己中心的で利己的な考えにつながりかねません。
 今、私たちを取り巻く社会をみてみると、無縁社会と呼ばれるように地域の絆が薄れ、孤立する高齢者や貧困に苦しむ子どもたちの問題が表面化しています。海外に目を向けてもテロ、紛争、難民の問題など、自己の主張を押し通し、自分たちの利益を守ることで他者の権利を侵害している状況が多くみられます。私たちが目や耳にするこれらの問題は深刻で、すぐに解決できるとは思えないものばかりです。山積する社会問題は私たちを不安にさせ、その不安の拡がりから経済的にも社会的にも文化的にも余裕のない、さらに非寛容な社会が生まれようとしています。

 では、どうすれば良いのでしょうか。
 
 その解を探るために人間福祉学部での学びの中からヒントを得てください。
 
 人間福祉学部はその名の通り、人間の幸福を追求するための学問を研究、教育する学部です。すなわち人間とその生活環境としての社会、そしてその両者の交互作用に関わる課題に対してソリューション(課題解決)を提供することによって人びとの質の高い生活と社会の実現を目指し、それらに貢献できる人材を輩出することが目標です。

本学部の教育理念 3つのC(Compassion、Comprehensiveness、Competence)

         3つのC

         3つのC

 本学部の教育理念は3つのC(Compassion、Comprehensiveness、Competence)です。
 Compassion とは、使われる場面によって多様に用いられますが、人間福祉学部では「人への思いやり」という意味で捉えています。つまり人間の幸福を追求するうえで、人への思いやりなしに実現することはできず、これこそ社会に生きる中で人として最も必要とされる本質であると考えるからです。
 次にComprehensivenessとは、物事をみる際の視点を一元的な見方や目前のことだけに捉われるのではなく、広い視野に立って問題解決に向けての糸口を見出すことの重要性を意味します。
 最後にCompetenceとは、それら多種多様な課題に対して、問題解決に向けて取り組む際に必要となる卓越した能力のことです。

人間福祉学部の3つの学科

 人間福祉学部には3つの学科があります。
 1つ目は社会福祉学科です。「関学の福祉」と呼ばれる本学の社会福祉学研究および教育は1952年から始まっています。60余年の長い歴史をもち、我が国でも屈指の伝統と実績を誇っています。社会福祉分野の専門職は言うまでもなく、ソーシャルワーク・マインドを持つ一市民として社会の多様な場で貢献できる人材を育成しています。
 2つ目は、社会起業学科です。国内外で生起する社会的な課題を起業という手法で解決することを目指し、社会問題に真摯に取り組む姿勢を涵養します。
 最後に、人間科学科は、こころ(スピリチュアリティ)と体の両面から人間を全人的に理解することの重要性を理解し、それらに必要な知識や技術を身に着けた人材を育てています。
 このように特徴の異なる3つの学科に共通する教育理念としての3つのCは、関西学院大学のスクールモットーである“Mastery for Service(奉仕のための練達)”とともに、非常に重要であるため、大学在学中の4年間にしっかりと心に刻み、体現できるようになることを目指しています。

人間福祉学部の国際性と多様性

 関西学院大学は2014年度、国のスーパーグローバル大学推進事業(SGU)に選ばれています。本学ではSGUにおいて、海外留学や副専攻およびハンズオン・ラーニング(インターンシップやフィールドワーク等のキャンパス外での体験学習)といったプログラムを通して大学の授業だけでないもう一つのことに挑戦する、すなわちダブルチャレンジを推進しています。
 人間福祉学部では、もともと実習やインターンシップの機会が豊富にあり、英語中期留学も実施していますが、これまで以上に多くの国際交流や体験学習の機会が用意されることになりました。
 人間福祉学部の建物G号館には教務機構や国際連携機構もあり、複合組織が共存しています。そこでは、様々な国からの留学生が多く行き来しています。いろいろな人とふれあい、交流する機会が日常的にある中で、国籍はもちろん、人種、宗教、価値観等が異なる多様な人たちが交わり合う環境は人間福祉学部にとって貴重な学習環境となっています。
 一人ひとりが互いの違いを認め、幅広い視野から物事を見ることができ、全体としての活力が生まれてくるという、いわゆる多様性(ダイバーシティ)の尊重がもたらす影響を身を持って体験できると思います。
 伝統ある関西学院大学にあって、「関学の福祉」の系譜を継承しつつ、新たに幅広い分野から実践的に人間福祉学研究・教育を行う本学部で、今日的な課題を見つけ、その解決に向けて取り組むことに共にチャレンジしてみませんか。

 皆さんと共に、“Mastery for Service”を体現すべく、成長する学部であり続けたいと願っています。