2024.02.24.
林直也ゼミが『 ~「よく分からない」 では 「よく変わらない」~ ケイドロ政治学!』を開催

2月5日、社会起業学科の林直也ゼミの3年生が、西宮市立総合教育センター付属西宮浜義務教育学校6年生を対象に、ゼミで考えたオリジナル授業を開講しました。
毎年、スポーツを使った社会貢献をテーマに活動する林ゼミ。今回の企画は、「若者の政治離れ」「若者の投票率の低さ」に着目し、スポーツ・運動を通して、選挙や投票に関心を持ってもらおう!という内容でした。
授業は、実技と講義の2部構成で、協力が得られた義務教育学校の5・6校時でそれぞれ、実技と講義を行いました。教諭役はもちろん林ゼミの学生です。
実技では、子どもたちに馴染みある「ケイドロ」を行いました。このケイドロに、「ケイドロ政治学」と名付けるだけのアイデアや工夫が隠されています。
最初に、子どもたちを泥棒役と警察役に分けますが、泥棒の人数を警察の3倍多く設定しました。その上で、ケイドロのルールをA,Bの2つの選択肢から1つ、子どもたちの投票で決めます。ルールAは「泥棒有利」、ルールBは「警察有利」となっています。投票の結果、泥棒有利の「A」が採択されました。当然ですよね。泥棒は警察よりも3倍人数が多い訳ですから。そのルールで1回目のケイドロを行い、見事泥棒が勝利しました。
そして、2回目のルール決めの投票です。1回目と同じく泥棒の人数は3倍多いままなので、次も当然人数の多い泥棒有利のルールAが採択されると思ったことでしょう。しかし、なぜか警察有利のルールが採択され、2回目は警察が勝利しました。
多くの子どもたちが、「泥棒の方が人数が多く投票も多いはずなのになぜ?」「泥棒有利のルールになると思っていたのに変だな?」と思ったはずです。この疑問こそ、次の講義へとつながる重要なポイントとなります。
  


講義では、「選挙とは何か?」「年代別投票率の現状」などを説明した後、2回目のケイドロで抱いた疑問に対する紐解きを行いました。
 実は、2回目のルール投票の際、泥棒を若者(18歳~29歳)に見立て、約21%1)という、若者の投票率を泥棒の投票に反映させたのです。そのため、泥棒の意見が20%程度しか反映されず、警察側の投票が上回り、警察有利のルールが採択された、という仕掛けだったのです。
投票率の話を分かりやすく伝えるために、「おじいちゃん、おばあちゃんがお煎餅が好きだからといって、世の中のお菓子すべてがお煎餅になったらどうする?ちょっと辛いよね?でも、他のお菓子も欲しいって意見を発信しなかったら、投票率の高いおじいちゃん、おばあちゃんの意見が採択されてしまって、お煎餅だけの社会になってしまうんだよ」など、身近な例を示す工夫も見られました。
紐解きの後は、自分の意見を持ち、それを共有し合うグループワークの時間。初めは控え目だった子どもたちも、いつの間にか活発に意見交換するようになり、お互いの意見を尊重する姿がとても印象的でした。自らの意見を持つこと、それをアウトプットすることの大切さを学んでくれたと思います。

  

授業の最後に、子どもたちから、「最初は政治や選挙の話ってことで、難しそうだなって思っていたけど、ケイドロやお煎餅の話で選挙について知ることができてよかった」と、感想をいただきました。

6月ごろからアイデアを出し合い、少しずつ育ててきた本授業。当日を迎えるまで、企画立案、企画書作成、協力いただく学校探し、学校への提案、各種準備など、多くの苦労があったと思います。しかし、その苦労を学生全員で乗り越え、努力を重ねていくことにゼミ活動の意義があるはずです。本授業を通し、また一つ成長した学生たちが頼もしくみえました。
この経験を活かし、今後も社会性・教育性ある取り組み、スポーツを使った社会貢献の新たなカタチを提案していってもらいたいですね。学生たちの更なる活躍にご注目下さい。


1)令和5年西宮市議会議員選挙における18歳~29歳の投票率は約21.8%。
参考:西宮市選挙管理委員会「西宮市議会議員選挙投票率・投票者数・年齢別有権者数」 https://www.nishi.or.jp/shisei/senkyo/senkyokiroku.files/senkyo_kiroku56.pdf (2024.2.12アクセス)

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