西村早織 カンボジアで芽生えた「もやもや」

[ 編集者:経済学部・経済学研究科      2013年5月1日   更新 ]


私にとって初めて訪れた海外が、栗田ゼミのみんなと行ったカンボジアでした。
2週間の滞在期間のうち4日間の農村調査が精神的にも体力的にも大変で、調査をしながら様々な現実を知り、辛くなることもありました。ですが帰りのバスの中でくたくたになってぼーっとしながら、村の風景、人々の様子、夕暮れの空などを見て、これは私がカンボジアに来なければ絶対に見ること、感じることができなかったことなのだと思い、とても感動しました。
また、調査を共にしたカンボジアの大学生ととても仲良くなり、日本人は私一人だけでバイクの後ろに乗せてもらい、ショッピングセンターに遊びに連れて行ってもらったこと、アンコールワットのそばでご飯を食べたこと、その夜に見た星空が今までで一番きれいだったこと、そのときなぜか凄くドキドキしていたこと、全てが忘れられません。

カンボジアの様子

カンボジアから帰ってきて、また日常生活に戻りましたが、ずーっと私の心は「もやもや」していました。カンボジアでのこと思い出せば、そのときの映像も気温もにおいも鮮明に思い出せるのですが、もう二度と調査のときに出会った人々とは会えないのかな、と思うとため息がでるような、そんな日々でした。

募金活動

そしてデータ分析の日々が続き、論文執筆にも追われていましたが、それと同時にカンボジアの子どもたちに教科書を配ろうというプロジェクトを立ち上げ、募金活動を始めることになりました。目標金額は30万円・・・。30万円あれば約1000人の子どもたちに教科書を配ることができるのです。なぜ、私たちがこのプロジェクトを始めたかというと、論文を書いていくうえで、カンボジアが今後さらに成長していくには子どもたちの教育水準を上げることが最も重要だと感じたからです。よりたくさんの関学生に、私たちが見てきたことを少しでも伝えようと思い、展示活動も行いました。驚くことにたくさんの関学生、先生方にも協力してもらい、なんとか目標の30万円を集めることができました。

集合写真

そして、カンボジアで教師をしている松岡先生にそのお金を渡し、小学生向けの教科書の作成費に充ててもらいました。この募金活動がカンボジアの発展に大きく寄与することはないでしょうし、募金活動自体、非難されることもありました。ですが、今まで教科書を持っていなかった小学生たちが教科書を手にしたとき、その子が笑顔になって、自分の未来にワクワクしてもらえるきっかけになれば、少しだけカンボジアの人々に恩返しができるような気がします。そうなれば私たちのしたことも意味のあるものだったのかなと思います。

このゼミでの活動を通して、色々なことを考えました。自分自身とも沢山向き合ったと思います。あの「もやもや」という気持ちは、今なにか私に形となって現れたというわけではないですが、これで終わらせたくないという思いが大きくなりました。私が私らしくありながらこれから世の中と向き合っていくためにも、最終的に大学院へ進むという決意をしました。マイノリティな進路で不安も沢山ありますが、私には栗田先生、ゼミの皆、カンボジアの人々の笑顔、そして自分が頑張ってきたことが支えになっています。

栗田先生には沢山の愛情と、少しのヒントを与えてもらい、それが色々なことを考えるきっかけになりました。私はこのゼミに入って本当に良かったと、誰よりも思いますし、これからもここが私の居場所で原点なのだと思います。

栗田ゼミ・集合写真