佐藤由香子 新しい世界

[ 編集者:経済学部・経済学研究科      2013年5月1日   更新 ]

子どもたち

今までテレビや本でしか見たことがなかった光景を、カンボジアで実際に自分の目で見てきました。その中で、これを書くにあたって一番初めに思い出したのが、農村調査で触れ合った子どもたちでした。

初めて子どもたちと会ったとき、どう接していいのか、子どもちは自分たちをどう思っているのかと考えてしまい、なかなかうまくコミュニケーションをとれませんでした。それでも、子どもたちとお土産として持ってきていたテニスボールで遊んだり、おいかっけこをしたり、絵を描き合ったりすることで、少しずつ距離を縮めることができ、子どもたちの笑顔をたくさん見ることができました。農村調査の中でも子どもたちと触れ合おうと、日本の伝統文化である折り紙で鶴を折ってあげたり、似顔絵を描いたり、カメラで撮った画像を子どもたちに見せたり、自分が変な顔をして子どもたちを笑わせたりしました。

子どもたち

この時は自分が何を考えていたのか分からないし、もしかしたら何も考えていなかったのかもしれません。でも、小さなことでも「今自分ができることをしたい」「子どもたちに笑ってほしい」そんな想いからしていたことだったんじゃないかと思います。他のゼミ生もそれぞれ「何か」を想いながら動いていました。

子どもたち

学校に行きたい」「医者になりたい」「日本語を勉強したい」いろんな夢を持つ子どもたちに出会って、「力になりたい!」と強く思っても自分たちにはどうすることもできなかった。いかに自分が無力なのかということを実感させられました。だからこそ自分たちが今できることをしようとしていました。この想いは、研究を進めていく中で更に膨れ上がっていきました。「自分たちに何ができるのか」一人一人考え方が違っていても、きっと考えていたことは同じだったと思います。その想いがあったからこそ、世界委員が主体となって動いてくれた募金活動や、現在進行中の未来予想図委員でのプロジェクトが実現できました(詳しくはさおりんとのぞみの記事を見てください!!)。

栗田ゼミだから、ゼミ生のみんなが一緒だからできたことです。カンボジアに行って、改めてこのゼミに入って、みんなと出会えて本当に良かったと心から思いました。

栗田ゼミ

そして、カンボジアに行ったことで自分と向き合う時間も与えてもらいました。今までの自分、これからの自分。こんなに自分自身について考えたのは初めてでした。その中で大きく感じたことが「自分が見てきた世界は本当に小さくて、もっともっと知らない世界がたくさんある」ということです。カンボジアもその世界の一つでした。世界っていっても、国とか社会とか人とか、そういった新しい出会いの場も「自分が知らない世界」だと思います。きっと新しい世界を知る度に、自分自身と向き合わなければいけないのかもしれません。でも、その度に新しい出会いと発見がある、そう思いました。「じゃあ今の自分は前と比べて変わったのか?」と聞かれたら、胸を張って「変わった!」とは言えません。でも、自分の中の「何か」が変わった気がします。その「何か」を今もこれからもずっと忘れずに持ち続けていくこと、考えていくことが大切なのかなぁと思っています。

カンボジアに行ったからだけでなく、栗田ゼミに入ったから、ゼミ生に出会えたから、ゼミ生が最高の仲間だと思えたから、そして栗田先生に出会えたから自分は変われました。小さな変化であっても積み重ねていくことで、5年前、10年前の自分から大きく(良い方に)変わっていきたいです。