2019年4月15日(月)〜6月15日(土)
アンデスの布ー糸があやなすチャンカイ・レースー

展示概要

 南米大陸では、ペルーを中心にした太平洋海岸地帯からアンデス山脈の一帯にかけて、古代より数々の文化が栄えました。ほとんど雨が降らず砂漠が広がる海岸部から、冠雪の峰々が連なる山岳地帯まで厳しい自然環境のもとで、高原ではリャマやアルパカが家畜として飼われ、山脈から太平洋へ流れ下る川沿いの肥沃な土地では農耕がおこなわれてワタが栽培されました。アルパカなどの獣毛や良質の木綿に恵まれ、糸を紡ぎ、染めたり、織ったりして地域や時代ごとに特有の染織品が見られるようになります。
 大学博物館には、500点を超える古代アンデスの染織品が収蔵され、古くは紀元前からアンデス文明最後のインカ帝国の時代まで、多様な染織品がコレクションされています。
 今回の展覧会では、そのうちのチャンカイ文化において作られたレースを特集します。その巧みな技とユニークな文様に焦点を当てた展覧会です。
 チャンカイ文化は、10~14世紀頃にペルー中部海岸のチャンカイ川流域を中心に栄えた半農半漁の海岸文化です。海岸砂漠地帯の墓地からは、膨大な量の織物が出土しており、多彩な染織文化の発達した様子がうかがえます。
 なかでも女性が頭にまとった髪覆いは、透ける布に織りや刺繡で文様をあらわしたチャンカイ独自のレースです。レースと言うと、透かし模様のある編みものがイメージされますが、チャンカイのレースは織りが主になっています。細く紡いだ木綿のタテ糸とヨコ糸を格子状に組織し、それに別の糸を絡めて文様をあらわすことから刺繡レースとも呼ばれます。あるいは、羅と呼ばれる複雑で高度な綟れ織の技術を駆使して透けた地に文様を表現するものもあります。
 そして、そこにあらわされた文様は、アンデスの人びとに馴染みのある鳥や魚、猿、獣などですが、それが織物という制約のなかで実にユニークに表現されています。なかには宇宙人のような文様も見られます。いったい何をあらわしているのだろうかと、想像をたくましくして古代アンデスの独自の文化に触れていただければ幸いです。

展覧会名
アンデスの布ー糸があやなすチャンカイ・レース
会期
2019年4月15日(月)〜6月15日(土)
会場
関西学院大学博物館(時計台2階展示室)
休館日
日曜日、祝日(但し5月6日(月)は開館)
入館料
無料
後援
西宮市

見どころ

神像に鳥文様刺繡レース

石畳に波鳥階段文様刺繡レース

図録のご案内

価格:¥800(税込)

【開催記念講演会】

「アンデス、あるんです。ー関学コレクションの染織品ー」
講師:河上繁樹(関西学院大学博物館長・文学部教授)
日時:2019年5月11日(土)13:30〜15:00
会場:西宮上ケ原キャンパス 大学図書館ホール
※申込不要・聴講無料