研究事業

[ 編集者:手話言語研究センター      2020年7月1日 更新 ]

2020年度の研究活動



 

「日本手話授業受講生の文化的多様性を評価するスケールの開発」   松岡克尚(センター長 人間福祉学部教授)

本研究では、本学人間福祉学部の日本手話受講生を対象に、同授業を通して、受講生の文化的多様性のコンピテンスが向上したかどうかを測定するために、文化的多様性コンピテンスの尺度開発を行うことを目的とする。これまでに引き続いて、文化的多様性や文化的コンピテンスに関する先行研究レビューと実際の講師や受講生に対するヒヤリングをとおして理論的枠組みを構築していく。それを踏まえて、この理論的枠組みに沿って、手話授業を履修した学生の文化的多様性コンピテンスを測定するスケールの開発を目標にしたい。
 

「日本手話による相互行為の分析」   森本郁代(センター副長 法学部教授) 

本研究では、日本手話話者同士もしくは日本手話話者と音声言語話者との間の相互行為の分析を行い、音声言語による相互行為との比較を通して、日本手話が相互行為の資源としてどのように用いられているのかを会話分析の手法を用いて明らかにすることを目指す。
 

「日本手話を第二言語とする聴者の日本手話習得プロセス」   下谷奈津子(研究特別任期制助教)

関西学院大学「日本手話Ⅰ~Ⅳ」の授業を収録し、成人学習者の日本手話の習得プロセスを観察する。
 

「ろう児をもつ親への手話指導に関する研究」   前川和美(研究特別任期制助教) 

乳幼児のろう児を持つ聴者の親に特化した手話指導カリキュラム案の作成を目的とする。
 

「日本語と日本手話のバイモーダル児の言語使用に関する研究」   平英司(専門技術員)

日本手話と日本語のバイリンガル・バイモーダルな家庭環境に聞こえる子ども(ろう児の兄弟姉妹)がいる場合、その子は両方の言語にふれて育つバイモーダル児となる。バイモーダル児やバイモーダル話者の言語使用の状況を把握し、その認知的なメカニズムを明らかにすべく、リサーチクエスチョン「バイモーダル児のモード選択はどのような要因でなされているのか?」を立て本研究を進める。
 

「Multisensory English Educational Application(MEEAP)手話英単語アプリの開発」   板垣静香(研究員 国際学部専任講師)

日本手話を第一言語とする聴覚障害者にとって、英語を習得することは難しい場合が多く、英語を苦手と感じる生徒は少なくない。日本手話、日本語、英語、音声、を通じて英単語を学ぶことのできるアプリの開発を計画している。聴覚障害を持つ学習者に、アプリを実際に使ってもらい、英語学習への効果を検証したい。
 

「日本手話の文末指さしに関する統語的研究」   今西祐介(研究員 総合政策学部准教授)

日本手話の文末指さしの統語的特性に関する研究を行う。本年度はこれまでの研究で明らかになった、文末指さしの指示対象に関する研究を進める。
 

「コーダの言語使用・言語意識と心理」   中島武史(客員研究員 大阪府立だいせん聴覚支援学校英語科教諭)

音声言語とともに手話言語も使用するコーダ(ろうの親を持つ聞こえる子ども)らの手話言語に対する言語意識や、手話言語使用者である自身に対する認識、コーダである自身に対する認識、ろう者である親に対する気持ちや抱く感情などの項目についてアンケート調査を行い分析を進める。アンケートだけでは把握できない心理面の詳細については、コーダへのインタビューを重ねデータを静謐化する。
 

「消滅危機言語の記録として不就学ろう者や離島で生活するろう者の手話表現コーパスの構築」矢野羽衣子(客員研究員 一般社団法人日本ろう福音協会)

不就学ろう者や離島で生活するろう者の言語生活を明らかにするために、手話コミュニケーションの撮影データを収集し、手話の生成過程(武居,2008)の内どこに値するかを分析する。
 

「ろう者のいる家庭における使用言語」   山本雅代(客員研究員 関西学院大学名誉教授)

本研究は、2016年度~2019年度研究「音声言語と手話言語のバイリンガリズム:CODAの言語環境実態調査」の研究結果から見出された極めて興味深い課題であり、先の研究で得たアンケート回答の意味するところを、面談を通して探求していく。
 



 

手話言語研究センター共同研究プロジェクト



 

研究課題:「手話通訳に関する課題分析」

研究代表者:平英司(関西学院大学手話言語研究センター専門技術員)

研究協力者:渡辺顗修(甲南大学法科大学院 教授),馬場博史(関西学院大学 非常勤講師)

研究期間:2020年4月1日~2021年3月31日 

研究概要:本研究の目的は、手話通訳者を介してろう者とコミュニケーションをとる際の課題を明らかにし、今後の司法における手話通訳のあり方を考えるための一助とするものである。 具体的には、2019年に行ったパイロット研究を元に対象者の数を増やすなど統計的な検証を進める。



 

科研費採択状況

代表者 研究課題 研究種目 研究期間(年度)
下谷 奈津子 日本手話のプロソディ-(韻律)要素の性質とその習得:手話学習者のストラテジー 基盤研究(C) 2019~2022
平 英司 日本語と日本手話のバイリンガル児の言語使用に関する質的調査 基盤研究(C) 2020~2024