[ 総合政策学部 ]平和・発展・人権
国連が掲げる3つの課題
2度にわたる悲惨な世界大戦の後、人類は基本的人権の重要性と人間の尊厳および価値を再確認し、平和の実現と経済的社会的発達を促進するために国際連合が設立されました。
総合政策学部国際政策学科は、国連が掲げる3つの課題「平和構築」「発展と開発」「人権の擁護」を中心テーマに据えて教育・研究を行っています。
平和の実現と「人間の安全保障」
平和を実現するプロセスの中で、地域紛争・国内紛争・国際戦争、テロリズム、核兵器の拡散など、現代の国際社会が抱えている問題は多くあります。 それらを予防し、それらに対処していくためにどのような政策が必要なのでしょうか。国際社会にかかわる「国家の安全」の実現が重要ですが、近年注目されている個々人の生命と尊厳に重きを置いた「人間の安全保障」の視点を重視して平和を捉えます。
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実現をめざして
持続可能な開発目標(SDGs)は、ミレニアム開発目標(MDGs。2001年に策定された)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択されました。
これを機に、世界は貧困撲滅を目標としていたMDGsの時代から、持続可能な発展(SDGs)を実現していく時代に移り変わります。
このSDGsは、持続可能な世界を実現するための17の目標と169のターゲットから構成されており、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを強く誓い、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標として掲げられています。
その17の目標は次の通りです。
1、貧困:あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる。
2、飢餓:飢餓を終わらせ、食料安全保障 及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
3、保健:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
4、教育:すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
5、ジェンダー:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行なう。
6、水・衛生:すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
7、エネルギー:すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する。
8、経済成長・雇用:包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
9、インフラ・産業化・イノベーション:強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
10、不平等:国内及び各国家間の不平等を是正する。
11、持続可能な都市:包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
12、持続可能な消費・生産:持続可能な消費生産形態を確保する。
13、気候変動:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
14、海洋資源:持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
15、陸上資源:陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
16、平和:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
17、実施手段:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
※外務省国際協力局発行資料を参照。
国際政策学科は、これらの達成のために、社会で世界で何が求められているのかを理論と実践の両面から国際社会の政策課題を捉え、将来現場で力を発揮できる教育研究を行っています。
世界人権宣言を礎に
1948年の国連総会で世界人権宣言が採択されました。
これは国際人権法の整備のはじまりでしたが、その項目は社会的な必要に従い拡充され、今では女性、子ども、障害者、少数者、移住労働者、その他の脆弱な立場にある人々のための特定の基準が網羅されています。
そしてこれらの基準を備えるだけでなく、条約を批准した国家によって、またさまざまな国際機関で人権を推進・保護する措置が採られています。 これらの理想を実現するために必要な、国際機関の法的な地位と権限についても研究をすすめています。