2017.04.03.
新入生672名を迎えて~2017年度4月1日入学式・入学宣誓式レポート~

総合体育館での入学式:村田治学長からの式辞です。

総合体育館での入学式:村田治学長からの式辞です。

4月1日、前日の雨模様であった天候も回復し、晴れの中、関西学院大学・大学院の入学式が執り行われ、
総合政策学部では、学部生672名(編入学生含む)、大学院生(前期・後期)合計6名の新入生を迎えることができました。
また同日午後には、学部の入学宣誓式がおこなわれ、細見学部長から学部宣誓式式辞が述べられました。

細見和志学部長式辞の一部をここに掲載いたします。
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ご入学おめでとうございます。関西学院大学総合政策学部は、新入生のみなさん(1年生 645名、編入学生 27名、合計 672名)を心から歓迎いたします。また、これまで、新入生の皆さんの成長を見守ってこられたご家族のみなさまには、心からお喜びを申し上げます。

関西学院大学総合政策学部は、1995年神戸三田キャンパスに創設されました。1995年というと、あの死者6434人を出した阪神淡路大震災があった年です。といっても、新入生の皆さんのほとんどは、この地震を直接体験していないのですが。幸い、神戸三田キャンパスは震災の被害をまぬがれ、22年前、みなさんと同じような新入生と着任したばかりの教員とで、全員が手探り状態の中、総合政策学部は出発したのです。

新しいキャンパス、新しい学部には、大変ユニークな新入生が集まってきました。授業中、手を挙げて質問する学生。(これは当たり前のようですが、当時の日本の大学では、まずめったにお目にかかれない光景でした。今もそうかもしれません。)教員の個人研究室を自分から訪問して、議論を仕掛けてくる学生。自分で仲間を集めて学生団体を作る学生。

なにもかも自分たちが行動して、自分たちが始めなければ、何も生まれない、そんなマイナスの環境が学生を積極的な人間にしたのだと思います。相談に乗ってくれる上級生がいない。勧誘してくれるサークルもない。キャンパスの周りには、コンビニも、安くてうまい定食屋も、おしゃれなカフェも、カラオケボックスも、飲み屋もない。こうしたないないづくしの環境の中で、与えられるのを待つよりも、自分たちで考え、行動していこうという気風が、学生に中に、自然と芽生えてきたのです。(ちなみに、その後、コンビニはできましたが、そのほかは今もありません。)

まず、自分たちが考え、動かなければなにも始まらない、という精神。これは、もし、この西宮上ヶ原キャンパスに学部があれば、生まれなかったことかもしれません。こうした気風は、時間の経過と共に、自然と薄れはしましたが、いまでも総合政策学部の学生の精神性を形作っている、と思います。この度、入学された新入生のみなさんにも、ぜひこの気風、自分たちで考え、行動するという総合政策学部のチャレンジ精神を受け継いでいただきたいのです。

総合政策学部は、一言で言うと、幅広く複数の学問分野を学び、社会にある様々な問題を解決するためには、どのような取り組みをすればいいのか、を考え、研究する学部です。こうした取り組みのことを「政策」と呼んでいます。「政策」と言うのは、狭い意味では、社会の様々な問題の解決のために、政府や地方自治体などの公的機関が行う活動のことです。また政党の行動計画や方針を指して使われることもあります。政治家が「わが党の政策は~」なんて言っているのを聞いたことがあるでしょう。経済政策、外交政策、金融政策、農業政策、などのように使われる言葉です。ここでは、もっと広い意味で、民間企業やNGO・NPOのような民間団体が、問題解決のために行う活動も政策と考えています。

こうした、幅広い観点から問題解決のための取り組み、人々の活動、つまり一言でいうと「政策」を考えるためには、どうすればいいのでしょう?そのヒントは、総合政策学部が創立以来守り続けているモットーにあります。それは、「Think Globally, Act Locally」です。考えるときには、地球規模の大きなスケールで。そして行動するときは、足元から、自分の住む地域社会から始めてみよう、という意味です。

地球規模で、というのは単に空間的に広く物事をとらえなさい、日本だけではなく、周辺諸国や世界全体のことを考えなさい、という意味だけではありません。時間的にも、できるだけ長いスパンで物を考えてみましょう、自分たちの世代だけではなく、次の世代、あるいは過去の世代のことも視野に入れてものを考えてみましょう、という勧めです。

そして、考えて行く中で見えてきた社会の問題を解決するために、まず、自分自身の生まれ育った町、住んでいる地元の町で行動を起こしてみましょう。グローバルな問題が、地元の地域社会とつながっていることに気づくはずです。

みなさんが「地球規模で物事を考え、足元から行動を起こす」ことができるために、総合政策学部は、様々な学問分野の授業を開講しています。現代のわたしたちを取り巻く問題は、複雑かつ多様です。ひとつの専門分野の知識だけでは対処できないのです。様々な学問分野に触れ、物事を多様な角度から見ることができるようになりましょう。他者の考えや価値観と出会い、相手の立場に立って考えることができるようになりましょう。

総合政策学部は、4つの学科から構成されています。総合政策学科、メディア情報学科、都市政策学科、国際政策学科です。1年生では、学科に所属せず、入門科目を受講して、じっくりと自分の進む方向を考えてください。一つの学科にも、様々な学部分野の教員がいます。学科の専門性は、学問分野の専門性ではないのです。社会の様々な問題や課題に対応して学科が設けられています。ですから、いまから自分はどのような問題に関心を持っているのかを、ことあるごとに考えておいてください。

総合政策学部では、みずから問題を発見し、政策を立案するというプロセスを通して、みなさんが将来、どのような職業についても、人から信頼されるような仕事ができる人物に育ってほしいと願っています。ここでの学びが、みなさんの中に眠っている可能性を引き出し、社会や人々の幸福のために働ける力を育てることができることを、心から願っています。

総合政策学部入学宣誓式の様子:新入生の皆さんは心持ち緊張されているようです

総合政策学部入学宣誓式の様子:新入生の皆さんは心持ち緊張されているようです