2024.08.22.
西立野修平ゼミが川崎市役所、千代田化工建設株式会社、早稲田大学を訪問

8月6日~8日にかけて、西立野修平ゼミが、カーボンニュートラルについて学ぶため、川崎市役所と千代田化工建設株式会社を訪問しました。また、早稲田大学政治経済学部戸堂研究室と合同ゼミを行い、研究報告を行いました。

以下は参加した学生によるレポートです。

<1日目>
初日は川崎市役所を訪問しました。そこで市の水素関連事業の担当をされている江崎さんから、川崎市のカーボンニュートラル構想、またその一環として水素を利用したプロジェクトや実証事業についてのお話を聞かせていただきました。川崎市は水素エネルギーの活用が全国で最も進んでいる自治体の一つであり、沿岸部にあるコンビナートを中心とした「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」を積極的に推進しています。お話の中で、川崎市だけでなく京浜臨海部にまで及ぶ水素社会の実現を目的としているというこの構想の規模の大きさに、非常に衝撃を受けました。そして、水素サプライチェーンの商用化に向けて川崎市は周辺自治体や民間企業と数多く提携し、様々な実証をおこなっているとの説明から、水素戦略の本気度の高さがうかがえました。
 

川崎市職員へのヒアリング

川崎市役所

お話を聞いたあと、川崎キングスカイフロント東急REIホテルに泊まりました。このホテルは川崎市の水素実証プロジェクトの一つであり、水素製造プラントとホテルの間をパイプでつなぎ、プラントから直接水素が供給されています。ホテルの前には巨大な燃料電池が設置されており、実証実験が終わった現在ではホテル全体の15%のエネルギーが水素由来のもので賄われています。ホテルの内装はフロントや寝室などとても綺麗かつおしゃれであり、一泊のみだったのが悔やまれるほど快適に過ごすことができました。

世界初の“水素ホテル” 川崎キングスカイフロント東急REIホテル

初日の夕食

<2日目>
次に、千代田化工建設株式会社へ訪問しました。そこで千代田化工さんが現在取り組んでおられる水素ビジネスについての説明と、実証プラント施設の見学をさせていただきました。
千代田化工建設は石油、LNGなどのエネルギー製造プラントにおいて世界的にも大きなシェアを誇っており、それらで培った技術を用いて新たなエネルギーである水素のサプライチェーンの実証事業をおこなっています。そのなかで、水素をいったん別の物質に変換して輸送しやすい状態にし、運んだ先で再び水素に戻すという循環システムの開発と実証についてのお話を詳細に聞かせていただきました。この別の物質から水素に戻す際に必須となる触媒について、実物を拝見しながら分かりやすく解説してくださり、とても理解が深まりました。このあと、実際の水素製造過程と実証プラントの見学をさせてもらい、最後には昼食として社食をいただきました。炎天下の中での施設の案内や昼食の手配までしていただき、非常にありがたかったです。

「SPERA水素」のデモプラント

千代田化工建設株式会社のフロント前

見学の後に、東京の早稲田へと移動し、早稲田大学政治経済学部戸堂研究室との合同ゼミをおこないました。戸堂ゼミの学生は総じてとてもレベルが高く、データの収集、分析やその解釈、パワーポイントの作成やプレゼンに至るまで、正直歯が立たないと感じるほど完成度が高かったです。プレゼン後の質疑応答の際には、戸堂ゼミ生からの鋭い指摘に対して私たちは明確に返答することができず、かなり悔しい思いをしました。また彼らは海外のフィールドワークにも積極的に行っているらしく、ホテルや移動手段の手配なども学生が率先して行っているという話を聞き、驚きを隠せませんでした。彼らの自発的に物事に取り組んでいく姿勢に対して、私たちは大いに参考にする必要があると感じました。

最後に戸堂ゼミと私たちで懇親会をおこないました。この場で彼らとすぐに仲良くなることができ、夜遅くまで盛り上がっていました。他大学の学生と研究内容やそれ以外のことでも意見交流をするのはとても新鮮で、そして有意義であると感じました。私たちのレベルアップのためにも、またこのような機会を設けることは非常に重要であると考えています。

インフラグループの発表

水素グループの発表

懇親会

以下は参加した学生の感想です。

【青木 優樹 さん】
今回のフィールドワークでは多くの場所に行きましたが、どれも非常に参考になるものでした。川崎市への訪問では、コンビナートを中心とした大規模な水素事業の商用化実証についてお話を聞くことができ、千代田化工建設さんへの訪問では水素事業の中でもよりサプライチェーン実証に焦点を当てた説明と見学をさせていただきました。千代田化工さんの水素サプライチェーンは水素社会の実現を目指すうえで肝となる部分であり、それを通してコンビナートの各所に水素を供給するという川崎市の壮大かつ具体的な構想は驚くべきものでした。そのうちの一つである水素を利用したホテルに泊まることができたのは私たちにとって良い参考例となりました。ただ、これらの実証は私たちの研究内容である燃料電池車と水素ステーションの増加にまではまだ至っていないとのことであり、このコンビナート中心の実証事業が今後市民サービスのほうにまで拡大していくのか、また拡大していくにはどうしたら良いのかについて注視していきたいと感じました。また、最後の早稲田大学政治経済学部戸堂ゼミとの合同ゼミはとても有意義なものでした。彼らと自分たちとのレベルの差を痛感しましたし、自らを省みる良い機会となりました。戸堂ゼミの学生たちと再び会える機会があることを願っています。このフィールドワークで学んだことや反省点を踏まえて、研究を進めていきたいと思います。

【大橋 彩 さん】
今回の研修では、貴重な体験を通じて多くの学びを得ることができました。まず、日目は川崎市役所を訪問し、環境政策の先進事例について学ぶ機会を頂きました。川崎市が進める水素エネルギーの活用に関する取り組みをヒアリングし、その詳細を担当者の方々から直接伺うことで、政策の背景や意図をより深く理解することができました。また、水素ホテルへの宿泊を通じて、最新の技術がどのように実用化され、生活に取り入れられているかを体感しました。このような実地での経験は、教室内での学びでは得られない貴重なものだと感じました。日目には、千代田化工建設を訪問し、水素の製造や供給に関する先進的な技術とその将来性についてお話を伺いました。特に、水素エネルギーの持続可能な利用に向けた技術的課題と、その解決策を追求する企業の姿勢を見て、私たちの研究に対する意義を改めて感じました。さらに、早稲田大学との合同ゼミでは、お互いの研究内容を発表し議論を交わすことで新たな視点やアイデアを得ることができました。このような交流は、研究を進める上で大きな刺激になり、今後の研究活動をより頑張ろうと思いました。

【尹 晶鉉 さん】
このフィールドワークに関する専門知識を得ることができ、とても意味深い経験となりました。水素は現代社会においてクリーンエネルギーの重要な要素として注目されており、この機会を通じてその重要性と実際の活用方法について直接学び、体験できたことが非常に印象的でした。初日には川崎市役所を訪問し、水素をさまざまな方法で活用する方法と、それを支えるインフラ整備について深く理解することができました。特に、川崎市は水素経済をリードする都市として、水素の生産、貯蔵、輸送、活用に至るまでの全過程を体系的に管理している様子を見学できました。このようなプロセスを直接目の当たりにし、話を聞くことで、水素産業の複雑さと重要性をさらに深く理解することができました。二日目には、千代田化工建設工場を訪問し、水素インフラだけでなく、水素のさまざまな種類や生成プロセスについて具体的に学ぶことができました。例えば、グリーン水素とブルー水素の違い、そして水素が生成されるさまざまな技術的手法についての説明が非常に興味深かったです。また、水素の安全性に関する重要性が強調される中で、安全な水素の生産と管理が水素産業の持続可能な発展にとっていかに重要であるかを改めて認識することができました。早稲田大学との共同ゼミ発表も非常に意義のある時間となりました。この発表を通じて、私たちのチームの研究や分析において不足している点を明確に認識し、それを通じて改善が必要な部分を再確認する機会となりました。他のチームとの比較を通じて感じた危機感は、私たちのチームの発展にとってさらなるモチベーションとなりました。今回のフィールドワークは、これまでに習得した知識をより豊かにし、理論と実践を結びつける機会を提供してくれたため、自分自身が一段と成長できるきっかけとなりました。水素産業への深い理解とともに、今後の研究の方向性と目標を設定するうえで大きな助けとなり、今回の経験を通じて今後の学業と研究においてさらに大きな成果をあげたいという意欲を持つことができました。

【辻本 匠 さん】
今回のフィールドワークで川崎市役所、千代田化工建設、早稲田大学政治経済学部戸堂ゼミとのインゼミを行った。現在、私のグループでは中国の一帯一路構想について研究を行っており直接的には関係する話ではなかったが、川崎市役所や千代田化工建設で得た水素戦略や水素技術の発展を学んだことは自分にとって非常に有益な機会となった。また、戸堂ゼミで今まで行ってきた研究を発表できたことは今後の研究の方向性の決定や研究の質、量ともに改善するべきことが多くあることを再認識する良い機会になった。特に戸堂ゼミのゼミ生の発表は非常にレベルが高く刺激をたくさん受けることができた。

【橋本 堅 さん】
今回のフィールドワークも前回と同様に非常に自分にとって興味深いものとなりました。ヒアリングにおけるトピックは主に水素戦略に関わるもので、正直に言うと難解な内容で、理解できた内容は多くありませんでした。しかしながらその中でも水素の輸送方法や、二酸化炭素をあえて利用した開発など関心を持つことのできる話題を提示してくださったと考えています。今回のヒアリングに向けての、訪問先による周到な準備に感謝しています。
また、早稲田大学との合同ゼミでは想像よりかなり強い刺激を受けました。他大学の学生が力を入れる活動、彼らのようなハイレベルな頭脳を間近に観察したのは初めての経験だったので強く印象に残っています。知識的な面だけでなくプレゼンにおける伝えやすい見せ方、話し方に至るまで多くの情報があの時間にあったと私は考えています。

【盧 沢鵬 さん】
今回の合宿で川崎市の水素サプライチェーン計画を見学させていただくことによって、私は日本の政府が推進する水素計画に対しての理解を深めることができました。市役所の方から水素推進計画や水素サプライチェーンに対する説明を聞き、さらにそれからの千代田化工のMCH技術に関する設備を見学させることによって。企業の現場の働き姿に対する大切な経験を得ることができました。これら経験は自分の就活に対してとても大切に経験になると思います。さらにそれからの早稲田大学との合同ゼミで優秀な相手方の発表を見ることによって、私のグループの中での不足している部分に気づくごとができました。これからはゼミの活動にさらに力を入れたいと思います。