2024.07.29.
松林志保ゼミが、里山フィールドワークを実施しました

7月20日、大阪府茨木市にてフィールドワークを実施しました。人と自然の相互作用によってつくられてきた里山とその変遷を知り、人口減少時代の林業を考えることが目的です。

大阪府森林組合都解さまのご案内で里山を散策し、その後、森林管理ボランティア養成講座(茨木市森林環境サポーター養成講座)を開講されている茨木市、森林組合、そして地元育ちの土地所有者(茨木里山を守る会)のみなさまへのヒアリングを行いました。さらに大阪府森林組合による間伐体験、ドローン実演を通して、里山管理のこれまでとこれからを学びました。

竹林と溜池を探索

炭焼き窯の見学

ヒアリング中

鋸の使い方のご指導

ゼミ生みんなでやっと一本を間伐

ドローン実演

フィールドワーク実施にあたり全面的なご支援を下さった大阪府森林組合他ご関係者様、本当にありがとうございました。

参加者の声

里山を歩くことで「山と人の暮らしは密接に関係している」ことを肌で感じました。森林の治水や防災面での役割がとても興味深かったです。人工林より天然林の方が良い森だと思っていましたが、人の手が加わることで山の生物多様性が保たれ、私たちの暮らしも守られることに気がつきました。現地生まれで現地育ち、かつ茨木市里山を守る会の中谷様が実体験を交えてお伝え下さった、時代の変遷、人と山の関係の変化、かつての里山と現在の里山の役割の変化は、私たち若者の心にも深く刺さりました。実際に木を切る作業は思っていた何倍も難しかったです。暑い中この作業を行うのはすごく大変だと実感するとともに、いつも私たちを守ってくれている山に対して少しお返しできたのかなという嬉しさを感じました。【村上明音さん】

森林管理の現場では、枝打ちされていない節のある木々が多く、そうした木には金銭価値はないものに等しいという現実を知り衝撃を受けました。こうした節のある木々が立ち並ぶ背景のひとつとして、有償ボランティアに依存せざるを得ない現状、森林管理に対する報酬の少なさ、人材不足があることを知りました。行政から、森林組合、土地所有者、ボランティアまで様々な立場の方々の意見をうかがうことで、一つの課題に対する考えや見えるものは完全に異なっていることを学びました。【長谷川来愛さん】

目の前の森の中に昔は田んぼがあったと知り驚きました。利便性の観点から現在はもう使われていないそうですが、確かに棚田の跡が残っていました。フィールドワークに参加する前は、豊かな生態系とは人の手が加わっていない自然を指すと考えていましたが、人の管理の元で育まれる里山は人と自然の共生の一例であることに気が付きました。森林に関する知識が浅い私達にも分かりやすく、政治・法・地域創生まで多岐に渡るお話をお聞かせくださり本当にありがとうございました。【内藤菫花さん】

地元の土地所有者の方が、「ここに生えている木を売ってもゼロ円だ。それでも次世代のために森を守る」とおっしゃっていたことが特に印象に残っています。森林の価値は木材価値だけではないけれど、木材販売まで手が回らない森林が全国各地にあると考えると森林との向き合い方の難しさを感じます。一人で考えるだけでなくて、ゼミの仲間と協力して少しでも里山、そして林業を活性化させるような研究を進めていきます。【安達愛衣さん】