2023.09.14.
西立野修平ゼミがタイでフィールドワークを実施

9月4日~11日にかけて、総合政策学部・西立野修平ゼミがタイにてフィールドワークを実施しました。西立野ゼミで現在取組んでいる研究「総理・閣僚らの海外訪問によるトップセールスは日本のインフラ輸出を増加させるのか?」を深める為に、NIDA(National Institute of Development Administration)、JICAタイ事務所およびChulalongkorn大学を訪問しました。また、研究活動の合間にバンコクやアユタヤを観光し、タイの歴史と文化を学びました。

以下は参加したゼミ生によるレポートです。


<1日目>
午前中NIDAに訪問しました。そこでは、NIDAの学生と共に、Mongsawad准教授によるタイ経済に関する講義を受けさせていただきました。特に、タイにおいて基本的な経済計画にも取り入れられている「SEP(Sufficiency Economy Philosophy)」という考え方について学びました。SEPとは、まず美徳(Virtue)や知識(Knowledge)を身に付けた上で、節度(Moderation)や合理性(Reasonableness)、慎重(Prudence)に沿った行動を取るという考え方です。この考え方は、持続可能な開発を進める上で非常に重要なものであると感じました。またその後は、NIDAの図書館を見学させていただきました。図書館はとても広く、本の冊数や種類が充実しているだけでなく、個人作業スペースやグループワークスペース、また休憩スペースなども充実しており、学生が勉強に集中できる環境が整っていると感じました。

午後からは、JICAタイ事務所を訪問し、当事務所の川辺次長から、日本のODA(政府開発援助)全般とタイにおけるODAの現状についてお話を伺いました。お話の中で、日本はタイに対して従来は途上国型の開発支援を行っていたが、近年は中進国型へと開発の焦点を移していることを知りました。具体的には、日本にボランティアとして学びに来たタイ人が、訪れた土地をタイの人々に紹介することによって日本を訪れるタイ人観光客が増えたという例があるように、一方的な援助ではなく日本とタイの両国がwin-winになるような援助形態を模索しているとのことでした。また、被援助国における質の高い成長のためには他国と協力して、開発の優先順位を考えながら援助を行うことが重要であることを学びました。

<2日目>
Chulalongkorn大学を訪問しました。キャンパス内は校舎の棟が多く立ち並び、屋外のバスケットコートもあるなど非常に広く、多くの学生で賑わっていました。キャンパスの広さから、電動キックボードの貸し出しもあり、先進的な学校でした。また、学生が制服を着て登下校をしていた点が印象的でした。ミュージアムにも案内していただきましたが、創立時の写真や、寮の写真、模型があるなどとても充実した内容でChulalongkorn大学の歴史を学ぶことができました。加えて、ミュージアムを学生が紹介してくださったのですが、母国語のように英語を話す彼女の英語力に驚き、我々の英語力の低さに危機感を感じました。

キャンパス見学の後、Prachuabmoh教授によるタイの少子高齢化に関する講義を受講させていただきました。日本だけでなく、タイでも少子高齢化が進んでいるということで、非常に衝撃を受けました。子育てをしながら働く環境が整っていないのかと思いましたが、タイでは子供を連れて職場に出勤することも少なくないと講師の方がおっしゃっていました。実際、私がバンコクのナイトマーケットに行った際も、子供の面倒を見ながら仕事をしている店員の方をよく見かけました。この点は日本と異なるという印象でした。これから世界的に人口が増えていくというなかで、少子高齢化問題とは日本だけが直面していると考えていましたが、タイのように海外でも同じ問題を抱えている国はあるのだという新たな発見となりました。また、日本が少子高齢化対策を強化し目標達成することで、成功例として他国に示していくことができるのではないかという可能性を感じました。

<3日目>
バンコクツアーに行きました。Wat Phra Kaeo、Wat Pho、Grand Palaceなどに行きました。Wat Phra Kaeoでは、装飾の豪華な建物を多く見ることができました。どの建物も非常に豪華な装飾でしたが、私は特に本堂の装飾が非常に細かく、輝いているように感じました。Wat Phoでは、とても巨大な涅槃仏を見ることができました。全長49mもあるとのことで、1枚の写真に収めるのが難しいほどの大きさでした。また、これらの寺院では入場する際に服装の規定があるということにも驚きました。タンクトップや短パン、ダメージジーンズなど肌を見せるような服装は認められておらず、タイにおける寺院の神聖さを感じることができました。

<4日目>
アユタヤツアーに行きました。ツアーでは、Wat Phra Sri Sanphet、Wat Mahathat、Wat Ratchaburanaなどに行きました。燃やされた遺跡や首を切断された仏像を見て、当時のビルマ軍との戦争がどれ程激しいものであったか垣間見ることができました。遺跡をまわったあとは、象に乗る体験をしました。ゾウに乗るのは初めてで、乗り心地の想像がつかず不安でしたが、想像よりも揺れは小さく、普段は見ることができない高さからの眺めを楽しんでいると25分があっという間でした。また、途中で道草を食べたり、チップを鼻でもらいに来るなど非常に利口で驚きました。タイ滞在中は、遺跡でもお土産でもゾウをモチーフとしたものが多く、ゾウはタイで象徴的な大切なものである印象を受けました。