学部長からのメッセージ Message from the Dean

[ 編集者:国際学部・国際学研究科       2018年4月2日   更新  ]

「世界市民」のすすめ

写真:平林 孝裕

国際学部長
平林 孝裕

「グローバル化」もしくは「グローバリゼーション」という言葉を用いずに今日に私たちのくらしを語ることは不可能でしょう。日常生活から世界情勢にいたるあらゆるレベルで、私たちは地域や国境をこえてつながりあっています。「グローバル」という言葉は、球体としての「地球(Globe)」から派生した言葉です。球体の表面積は有限です。近代以降、急速に人間の活動が拡大した結果、それぞれ孤立していたかのように振る舞うことができた時代が過ぎ去り、相互に影響しあうことが避けられなくなった時代に私たちは生きているということです。翻って考えれば、国境や地域をこえて私たちがつながりあい、「より恵まれた」世界をつくり出すために地球規模で協働できる可能性が開かれているとも考えることもできます。

国際学部は、関西学院を創設したW.R.ランバスの精神を端的に実現することを期待して設置された学部です。ランバス宣教師はたくさんの国々をめぐり、生涯を隣人と社会のために献身的に働きました。その働きは「世界市民(World Citizen)」として顕彰されています。ここで言われる「世界」は地理的な広がりを意味する以上に「人びとが生活を営む領域すべて」を含意します。また、「市民」とは「自分の暮らす領域に主体として責任をもつ人」を意味する言葉です。国や地域を問わずすべての人の生活を恵まれたものとするために主体的に関与し責任をもって働く人、それが世界市民の意味するところです。このような世界市民の育成が国際学部の目的です。

世界市民となるうえで、世界を活躍の場として隣人と社会のために働くうえで必要な資質・技能、「問題解決能力」「多文化共生能力」「倫理的価値観」「言語コミュニケーション能力」を多角的・総合的に修得することが国際学部の学びでは目指されています。そのために、少人数で編成される演習型授業及び言語教育を重視しています。初年次の基礎演習で、問題を論理的に捉え適切な言葉で表現する訓練をおこないます。また、外国語の習得は文化を超えて理解し合い協働するために不可欠ですが、その機会が4年間を通じて用意されています。上級年次の研究演習ではそれらを総合して、みずから選んだ課題に取り組んでいくことになります。その間、各種の海外留学などを通して自分の関心を深め、資質・能力を磨くことが求められます。

国際学部で、学生は自分の関心に応じて「文化・言語」「社会・ガバナンス」「経済・経営」の三つの領域を中心に人文社会科学から広範な内容を学ぶことが可能です。できあがった学問を専門的に掘りさげて学ぶことも興味深いことですが、それと同時に、自分の関心を捉えた課題のために、多様な学問を横断的に統合していくこともまた興味深いことです。むしろ、いっそう創造性に溢れた行為だと思います。主体的に選択して自分なりの「学び」をデザインできる力をつけることも国際学部での重要な学びの目的です。積極的に幅広い学びに挑戦することを推奨したいと思います。あわせて市民として主体的に隣人や社会とつながるために人間的に成長することも国際学部での学びにおいて重要です。大学で用意された海外プログラムやインターシップ制度、ボランティア活動にも積極的に参加することは、そのための貴重な経験となるでしょう。

このような国際学部の学びを通して、自分が何のために勉強しているか(Mission)を見つけることが大切です。その使命を実現するために、いつまでに何をするのかイメージすること(Vision)が次いで求められます。さらに、具体的なイメージにむかって取り組む情熱(Passion)が必要です。大学で学びに専念できる期間は限られています。「世界市民」となるために、Mission、Vision、Passionをもって有意義な学生生活を送ってほしいと願います。