[ 国際学部 ]学部長メッセージ
国際学部長 重政 公一
関西学院大学は創設以来、「世界市民」の育成に取り組んできました。この伝統をさらに高めるために、2010年4月、11番目の学部として国際学部が設立されました。国際学部の目指すものは、「国際性の涵養」です。国際事情に通暁しているだけではなく、国境を越えたさまざまな隣人・社会の抱える問題に共感できる温かい心と倫理観、その解決のための冷静な分析能力を備えた人材である「世界市民」を輩出することが目標です。コロナ禍が落ち着き、世界の動きは再び人、物、情報の流れを取り戻し、加速しつつあります。ポストコロナの時代に改めて、世界市民となるべく学生たちを世界に送り出すことが私たちの学部の使命です。
国際学部棟に入ると「あなたがたは世の光である」(マタイ伝5:14-16)というメッセージを目にするでしょう。みなさんが国際学部で学ぶ4年間で培った知識と実践は、今後あなた方の人生を照らす光となり、良き道に導く指針となることでしょう。国際学部の科目体系は、学問分野としては「文化・言語」「社会・ガバナンス」「経済・経営」の3つの領域があります。対象とする地域としては「北米」「アジア」「ヨーロッパ」と、国際関係、国際機関、地球規模の課題を学ぶ「グローバル共通」という4つの地域研究科目群を設置しています。
2年次で学生は基本、自分の選んだ留学コースにしたがって様々な世界の大学で学習に励みます。3年生から研究演習(ゼミ)に所属し、少人数で教育を担当教員から受けて、卒業論文を完成させることになります。ゼミのテーマは、3×4の12個のテーマから選んで、興味のある分野を学んでください。一方で、「領域」「地域研究科目群」は学科としてあるのではなく、それぞれの垣根は低いので自分の学びたい分野をより多くのなかから選ぶことができます。例えば、北米コースに所属しても、文学や経済、政治など幅広い授業体系のなかから学習することができますし、地球規模のイシュー(課題)を北米、アジア、グローバルの視点から比較考察することもできます。
語学が学問として魅力があり、学ぶ必要は大いにあると考えますが、国際学部では語学は異文化を理解し、コミュニケーションを行うためのツールだと考えています。高めた語学能力を用いて何をするかが重要です。ここが国際学部と外国語学部や文学部との違いだと理解してください。
国際学部は創設から15年が経ったばかりの若い学部です。これから入学するみなさんが新しい伝統を創る当事者となってください。「求めよ、さらば与えられん」(マタイ伝7:7-12)。国際学部での積極的な学びにわたしたちの3つの領域と4つの地域科目群がみなさんに開かれています。ドアを開いて共に国際学部を創っていきましょう。